『ダークナイト』や『インセプション』、ミニチュアを使った撮影を解説
現在開催中のアジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア」で7日、クリストファー・ノーラン監督作品『インターステラー』で2015年度米国アカデミー賞視覚効果賞を受賞したイアン・ハンター氏による「ハリウッドVFXセミナー」が行われ、『ダークナイト』や『インセプション』などで、精巧なミニチュアを使用した撮影の裏側を語った。
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ノーラン監督とは『ダークナイト』『インセプション』『ダークナイト ライジング』『インターステラー』の4作品で関わり、「クリストファーは本物に見える映像を作る事に重点を置いていました」と振り返るハンター氏。
『ダークナイト』ではシカゴのワッカードライブで行われたカーチェイスの中、一部精巧なミニチュアを使用して撮影した箇所を担当。バットモービルがゴミ収集車に衝突・スピンしてそのまま走り去るシーンで、ハンター氏は「衝突やスピンする瞬間はミニチュアを使用しました。バットモービルとゴミ収集車、ジョーカーが車に乗る実写から始まり、その間にミニチュアを使ったシーンが挟まれ、次の実写に続きます。ここではバットモービルとゴミ収集車だけでなく、ワッカードライブ自体が実写のシーンとミニチュアで合う事が大事でした」と説明。
30秒にも満たないシーンだが、撮影のために1/3サイズのワッカードライブの模型をはじめ、バットモービル、ゴミ収集車のミニチュアを製作。さらに、前後にある実写の映像と合わせるためにカメラを搭載する車も製作したという。
『インセプション』では城が崩壊するシーンを1/6サイズの模型で再現。ノーラン監督から「夢の崩壊と城の崩壊をイメージに重ね、いきなり壊れるのではなく少しずつ壊れてほしい」と依頼があったそうで、「構造的に建っている事はできるけど、合図で壊れていかなければいけない状態にするのが難しかった」と苦労を振り返った。
ほかにも、『ダークナイト ライジング』のオープニング、悪役ベインが飛行機をハイジャックし宙づりになるシーンでもミニチュアを使用した事を説明し、ブルーバックを使用した撮影方法などを紹介していた。(中村好伸)。