“なりたい”未来を思い描くことの大切さ『トゥモローランド』監督がディズニー新作に込めたメッセージ
映画『アイアン・ジャイアント』『Mr.インクレディブル』など名作アニメの数々で知られるブラッド・バード監督が手掛けたディズニー映画『トゥモローランド』。ウォルト・ディズニーが遺(のこ)した未来へのビジョンをベースに、全てのアイデアが実現する理想の世界を実写で描き出したバード監督が、本作に込めた未来への思いを語った。
同作は、トゥモローランドの謎を知るフランク・ウォーカー(ジョージ・クルーニー)の少年時代から幕を開ける。1964年、ニューヨーク万国博覧会を訪れたフランク少年は、謎の美少女アテネと出会ったことから、未来都市「トゥモローランド」の存在を知ることに。万博で行われた発明コンテストに参加したフランクが、審査員のニックス(ヒュー・ローリー)に披露するのは、空を飛ぶ夢をかなえるジェットパックだ。
劇中で描かれる「空」への憧れは、『遠い空の向こうに』『ロケッティア』といった、ジョー・ジョンストン監督の作品を思い起こさせる。「『遠い空の向こうに』を思い起こしたというのは、興味深い観点だね。彼はアイアン・ジャイアントのデザインもしていて、僕も多くの作品に関わってきた。だから間違いなく、彼の作品にインスパイアされている部分はあるよ」。
そんな本作が訴えるメッセージは、絶望的ではない「明るい未来を創造する」ことの大切さ。バード監督自身、くしくも同時期公開となった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などのディストピア映画の大ファンであり、「ああいった作品を観るべきではないと言いたいわけではないよ」と語りながらも「ただ、現在の社会では、僕らはただ未来に向かうバスに乗せられていて、何もできないと思っている人がとても多い気がしているんだ。でも僕は、未来とは『参加』するものだと思っている。望む、望まないにかかわらずね。だからこそ、自分の望む方向に向かって行くと思うことが大事なんだ」。
その言葉は、『アイアン・ジャイアント』で描かれた「なりたい自分になれる」というテーマに通じるものがある。バード監督も「ある意味、同じメッセージだといえるね!」と力強く語ると、「もちろん、なりたい自分を描くその先には障害やトラブルも待っていて苦労はある。けれど、楽しいことだってたくさんあるんだよ」と笑みを浮かべた。(編集部・入倉功一)
映画『トゥモローランド』は全国公開中