ピクサーが行う徹底したリサーチ!『インサイド・ヘッド』監督&プロデューサーが明かす
映画『カールじいさんの空飛ぶ家』のピート・ドクター監督が、新作『インサイド・ヘッド』について製作者ジョナス・リヴェラと共に語った。
ディズニー/ピクサーによる本作は、田舎町から都会のサンフランシスコへ引っ越した11歳の少女ライリーの頭の中を舞台に、「ヨロコビ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」「カナシミ」という五つの感情が、新しい環境に慣れようとするライリーを幸せにするためぶつかり合いながらも奮闘するというストーリー。
五つの感情に決めた過程について、ジョナスは「僕らは相当な量のリサーチをしたんだ。これまでも『カーズ』で自動車専門家になり、『ファインディング・ニモ』では魚に関する専門知識を得た。ただ今作のリサーチはどうしたら良いかわからなかった。そこで、まず科学者や心理学者と話し合い、その後何が感情の定義かを考え始めた。なぜなら、どれほどの感情があるのか議論の余地があったからだ。僕らが聞いた学者の中には26もの感情が人間に存在すると言う人もいれば、三つだけだと言う学者もいて、いろいろ悩まされた(笑)。だが、ほとんどの学者の間から5、6の感情が挙げられ、それらに決めた」と感情の選択過程で悩んだことを明かした。
今作の声優の選考について「実は声優にアプローチするまで(アニメ制作で)およそ2年半も費やして感情をつかさどるキャラをコンピューターですでに形成していた。その後、僕らが声優の選考で行うのは、出演候補の俳優の他の映画作品のセリフを集め、それらのセリフを僕らがクリエイトしたアニメ映像に合わせて鑑賞すること。今作では、ビル・ヘイダーがフィアー(ビビリ)として最初に決まった」とピートが語った。
女の子の頭の中を描くことにしたのは「このアイデアを5年前に考えたときは、観客を新たな観点に導けるクールな発想だと思った。でもあまり行き過ぎた発想だと、観客が取り残された感覚になる。そこで、あえて観客がこれまで考えたことのあるものにし、一体どこからあんな不思議な夢が生まれるか、なぜ車の鍵をどこに置いたのか思い出せないのか(父親の頭の中も描かれている)、なぜあの曲が頭の中から離れないのか? など、遊び心を持って試した。それから、ライリーの内面を思考、意識、洗脳、夢などのカテゴリーに分けた」とピートが説明した。
映画は、少女の繊細な内面を、さまざまな感情と思い出を通して描いた、見事なエンターテインメント作品だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)
映画『インサイド・ヘッド』は7月18日より全国公開