観客と手話で交流!フランスで700万人動員の大ヒット『エール!』の女優と監督に大きな拍手
フランスで700万人を動員した大ヒット作『エール!』が26日、東京・有楽町朝日ホールで開催中の「フランス映画祭2015」オープニング作品として上映され、主演のルアンヌ・エメラ、エリック・ラルティゴ監督が上映後のティーチインイベントに来場し、観客からの質問に答えた。
バラエティー豊かなフランス映画を紹介するフランス映画祭。今年のオープニング作品は、フランス全土を笑いとさわやかな感動の渦に包み込み、記録的大ヒットを飛ばした感動作を上映。フランスの田舎町で酪農を営むベリエ家は、高校生のポーラ以外は全員聴覚障害者だが、仲良く暮らしていた。そんなある日、ポーラの音楽的才能を見いだした音楽教師が、彼女にパリの音楽学校の受験を勧める。しかしポーラは夢と家族との板挟みで悩まされる。本作は、そんな家族の姿を、ユーモアを交えたみずみずしいタッチで描き出している。
この主人公のポーラに抜てきされたのが、オーディション番組「The Voice」で歌手デビューし、本作でスクリーンデビューを果たしたルアンヌ。「この映画のために4か月、手話のレッスンを受けました」とルアンヌが語る通り、本作では、家族との会話である手話がキーポイントとなる。「確かに簡単ではなかったですが、わたしは外国語を覚えるのは得意だし、新しいことにチャレンジするのは好きなので、苦にならなかった」とコメント。続けて「この会場に聴覚障害者の方はいらっしゃいますか?」とラルティゴ監督が問い掛けると、客席に座っていた男性が手を挙げた。
ルアンヌはその男性に向けて、「日本上映があるかわからないんですが、フランスでは、健常者向けのバージョン以外に、聴覚障害者の方のためのバージョンもあるんです。そこでは字幕も出るんですが、そのほかに字幕の色を変えて、ここでドアが閉まった、音楽が入ったという感じで説明してくれます」と解説すると、「ところでフランスの手話は理解できましたか?」と男性に質問。
それに対して男性客は「すべて理解できました! 本当に素晴らしい映画で、涙が出ました」と手話で返答。ステージのルアンヌとラルティゴ監督も手話を使って男性客に語り掛けるなど、国境を越えた手話の交流に、会場からも大きな拍手が送られた。(取材・文:壬生智裕)
「フランス映画祭2015」は6月29日まで東京・有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇にて開催。大阪、京都、福岡でも開催予定あり
『エール!』は10月31日より公開