ヘレン・ミレン、世界ユダヤ人会議の特別名誉賞を受賞!
映画『クィーン』『ヒッチコック』などでおなじみの名女優ヘレン・ミレンが、『ウーマン・イン・ゴールド(原題) / Woman in Gold』で実在したユダヤ系女性マリア・アルトマンさんを演じたことで、「世界ユダヤ人会議」(World Jewish Congress)から特別名誉賞を受け、映画に対する思いを語った。
【写真】ヘレン・ミレン主演『ナショナル・シアター・ライブ2015/ザ・オーディエンス』
同作は、第2次世界大戦中に親族が所有していたオーストリアの画家グスタフ・クリムトの作品がナチスドイツによって奪われたとして、当時その絵画を所有していたオーストリア政府を相手に、(「アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I」を含む)絵画5点の返還訴訟を起こしたマリア・アルトマンさん(ヘレン)と弁護士ランドル・シェーンベルク(ライアン・レイノルズ)の奮闘を描いたドラマ。
今回、同賞を受賞したことについて「特別名誉賞と言われて、表彰状を受け取るのかと思ったら、このような素晴らしい銀の聖杯を頂いて驚いたわ(笑)。どうもありがとう、大切にするわ。この映画は素晴らしい過程を経て出来上がった作品。『世界ユダヤ人会議』は、アート作品やユダヤ人のためにさまざまな貢献をしてきたけれど、いまだにユダヤ人は人種問題で葛藤している。今作もまさにそんなユダヤ人の人種問題の葛藤を描いていて、最終的にユダヤ人たちの記憶(思い出)、家族、文化を取り戻そうとするの。これらは基本的な人間の権利で、世界のどこの国に住んでいても、最も大切なものよ」と答えた。
今作を手掛けたサイモン・カーティスについて「正直、女優として表現しただけで、わたしのクレジットは必要ないくらい、ほとんどは情熱を持って製作したサイモンのおかげなの。実はわたしが舞台をしていた若い頃に、サイモンはわたしのアシスタントとして働いていたことがあって、その時の彼はわたしのファンから送られてきた手紙を整理していたんだけれど、そんな彼が今や素晴らしい成功を収めた監督になってとてもうれしいわ」と語った。
マリア・アルトマンさんについて「彼女の名前はユダヤ人の歴史にしっかり刻まれているだけでなく、人類の歴史の中でも注目すべき女性だと思っている。なぜなら、彼女が行ったことはとても勇気のあることだから。そのため、彼女の行動が映画を通して多くの人々の間で反響を呼び起こすことを望んでいるわ」と笑顔で話した。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)