麻生久美子が長谷川博己の才能にジェラシー?
園子温監督の最新作『ラブ&ピース』で共演した長谷川博己と麻生久美子が撮影時を振り返り、劇中で往年のロックスターを彷彿(ほうふつ)させるステージパフォーマンスを披露した長谷川を、「何でもできてズルイ!」と麻生が嫉妬した。
本作は、一匹のカメと出会ったさえないサラリーマンの鈴木が、ロックスターになる夢をかなえていくファンタジックな物語。うだつの上がらないサラリーマン時代から、オーディエンスを熱狂させるスターに成り上がるまで、鈴木を見事に演じた長谷川は、「まったく何もやらないほうがいいのか、思いっきりやったほうがいいのか、撮影前に悩みました。結果、思いっきりやってみたんですけど、完成版を観たときに、『何もしていないカメに負けた』と思いました」と苦笑する。
そんな長谷川に対し、「そんなことないですよ! 歌もパフォーマンスもすごい。長谷川さんは何でもできちゃうからズルイです」と本音を吐露しつつ、「でも、確かにカメはかわいかった」とにこやかにほほ笑む麻生。鈴木がほのかな思いを寄せるヒロインの裕子を演じた彼女だが、「裕子はダサくて地味な女性なので、本番中は『絶対に笑わないで』と園監督から言われていたんです。わたし、口角が少しでも上がると笑っているように見えてしまうらしくて、何度も注意されました」と意外な苦労話を打ち明ける。チャーミングな笑顔を完全封印した麻生の演技にも注目だ。
園監督の『地獄でなぜ悪い』に出演して以来、監督とはプライベートでも懇意にしているという長谷川は、今回、自分の出番がないのにもかかわらず、現場の手伝いに駆け付けたらしい。「園さんから電話で呼ばれてスタジオに行ったら、撮影も手伝うことになりまして。人形や車のおもちゃを『よーい、スタート!』で動かしたりしていました(笑)」と、裏方としても活躍していたことを激白。それは、地下世界で暮らす謎の老人(西田敏行)が、言葉を得たおもちゃたちと戯れるシーンとのこと。長谷川の見えない努力に拍手を送りたくなるかもしれない。(取材・文:斉藤由紀子)
映画『ラブ&ピース』は6月27日より全国公開