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10年ぶりに来日のクルド人監督が「帰国しても逮捕はされない」と報道を訂正

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『サイの季節』のプロモーションで10年ぶりに来日したバフマン・ゴバディ監督
『サイの季節』のプロモーションで10年ぶりに来日したバフマン・ゴバディ監督

 イランから亡命したと伝えられていたクルド人映画監督のバフマン・ゴバディが来日し、最新作『サイの季節』や祖国との関係について語った。

【写真】車からのぞく馬、海に浮かぶサイ……幻想的な映像

 カンヌやベルリンなど国際的なひのき舞台で高く評価されてきたゴバディ監督。『酔っぱらった馬の時間』(2000)や『亀も空を飛ぶ』(2004)などの社会派かつ幻想的な作風で知られているが、祖国イランを離れてから初の長編となる『サイの季節』は近年拠点にしているトルコで撮影した。

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 前作『ペルシャ猫を誰も知らない』(2009)を政府の検閲を受けずに製作したことから、イラクのクルド人居住区に亡命したとも伝えられたが、「国から逃げているわけではない」と報道を訂正。「帰国しても逮捕はされないと思いますよ(笑)。ただ芸術家は精神的にも社会的にも自由でいなければいけない。イランではかなりの制約を受けていましたから、前に進むためにも国外の環境で映画を作りたいのです」と心境の変化を語る。

 同じく政府の弾圧で軟禁状態にあるという『オフサイド・ガールズ』(2006)のジャファル・パナヒ監督については「彼はイランにとどまりたいといつも言っていました」と明かす。「自分は国外で作った作品でもイランの名誉になると思っています。パナヒさんは国内で映画を作りたいと望み、わたしの興味は外に向いている」

 一方で『サイの季節』には、祖国を離れた異邦人の孤独が暗い影を落としている。「主人公のモデルになった詩人のサデッグ・キャマンガールはイラン革命で25年間投獄されました。主演のビーローズ・ヴォソーギもイランの大スターでしたが、革命でアメリカに逃れた人物です。ですから、キャマンガール、ヴォソーギ、わたしを含めた3人が感じた孤独が大きく反映されています。製作時はわたしも国を離れたばかりで言葉が満足に通じず、疎外感ゆえにセリフが極端に少ない映画になりました」と、当時の心情が作品に及ぼした影響を話した。

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 現在はポジティブなモードで暮らしており、「もし、今撮ったら主人公は気さくな性格で、クラブで陽気に踊っているかもしれません」と笑う。新作は『ハグ・ザ・ドッグ(原題)/ Hug The Dog』というアニメ映画で、アメリカで製作する予定だ。「アニメなんだから日本で作るべきですよね。日本のアニメは素晴らしいですから。今はスペインでも中国でもインドでも、あらゆる言語や国で映画を作ってみたいです!」と尽きることのない創作欲をアピールした。(取材・文:村山章)

映画『サイの季節』は7月11日よりシネマート新宿ほか全国順次公開

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