『日々ロック』入江悠監督が二階堂ふみに驚かされたこととは?
ニューヨークのジャパン・ソサエティーで開催中のイベント、ジャパン・カッツで、オープニングナイトを飾った映画『日々ロック』について入江悠監督が語った。
勉強、スポーツが全然駄目で、彼女もいない高校生、日々沼拓郎(野村周平)を主人公にした本作。ロックを人一倍愛する気持ちから友人とバンドを結成して上京したものの、ライブハウスでの演奏に全く客が集まらなかったある日、トップアイドル宇田川咲(二階堂ふみ)がライブハウスを訪れ、彼の運命を変えていく。
榎屋克優の同名漫画を実写化する際に、ライブ感に気を付けたそうだ。「今までヒップホップ映画や実在するバンドの映画は作りましたが、漫画の中の歌を曲にするのは大変でした。漫画の活字にメロディーとリズムを付け、実際の俳優に歌わせるため、バンドを作るような感じから始めました。主演の野村君は撮影半年前にオーディションで決まってからギターを猛練習してもらいました。さらにバンド物なので、素人では無理なドラムの依田役は(ロックバンド・黒猫チェルシーの)岡本啓佑君に頼みました。それなら、ギターとベースがちょっと下手でも聞けると思ったんです」と答えた。
再タッグを組んだ二階堂とは「最初の仕事は彼女がまだ16歳ぐらいのときで、3年でこんなに人は成長するのかと思いました。その後彼女はニューヨークで英語を勉強し、世界中の監督と一緒に仕事をしたいという気持ちにあふれ、そういう明確な意志を持っている俳優はこの世代では、まれに思えました。今作で久しぶりに彼女に会いましたが、女優としての責任感と意志の強さが増していましたね。今回はアイドルという設定なので、衣装に関して自分でアイデアを持ってきてくれました」と評価した。
音楽プロデューサー、いしわたり淳治の参加について「いしわたりさんは僕が10代の頃から活躍していたミュージシャンで、今はプロデューサー業に専念され、音楽祭の審査員もやり、若いバンドもたくさん観ています。今作ではバンドの曲が4曲出てきますが、最初の曲から最後に向かって主人公がどう成長して、どう変化していくかを曲で表現したいと思っていたため、その4曲をいろいろなバンドに作ってもらいたいと思い、バンドの選定に関して、いしわたりさんにアドバイスを頂きました」と明かした。
映画は、ライブ感あふれる作品で、エネルギッシュな日々沼役の野村と徹底したアイドルに変身した二階堂の演技に注目だ。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)