役所広司、鈴木貫太郎元首相の言葉に「永遠の平和」を願う
映画『日本のいちばん長い日』の初日舞台あいさつが8日、丸の内ピカデリーで行われ、役所広司、本木雅弘、松坂桃李、神野三鈴、そして原田眞人監督が登壇した。本作で役所演じた阿南惟幾の実子・阿南惟正さんからの手紙と、この日会場に駆け付けた山崎努演じた鈴木貫太郎元首相の孫娘・鈴木道子さんからの貴重な言葉を聞いた役所は、「戦後70年を迎えましたが、これからも戦争なく100年、200年と平和が続きますように」と作品に込めた思いを語った。
役所は、陸軍大臣・阿南惟幾の息子である惟正さんから「公私両面にわたって父をしっかり演じていただきました」と手紙をもらうと、「日本の未来を信じて戦争で戦った方々、戦争終結に尽力した方々、そんな方々によってわれわれが今生かされています。実在の人物を演じることはすごく不安なのですが、合格点を頂けたみたいでホッとしています」と笑顔を見せた。
一方、1945年4月という難局で内閣総理大臣に就任した鈴木貫太郎元首相の孫娘・道子さんは、首相就任直後「俺はバドリオなるぞ」と発言していたことを明かす。ピエトロ・バドリオは、ムッソリーニの失脚後、イタリアの首相として、連合国軍に降伏した人物として知られている。
「最初から戦争を収めるつもりで首相になったんだと思います」と道子さんが貴重な話を披露すると、昭和天皇を演じた本木は「貫太郎さんは、日清・日露戦争を経験し、戦争への矛盾を感じていたんだと思います。辞世の句で『永遠の平和』と語ったとお聞きしています。そういう思いをお持ちだったんだと思います」としみじみと語っていた。
本作は、半藤一利の傑作ノンフィクションを映画『クライマーズ・ハイ』の原田眞人監督が映画化。第2次世界大戦末期、戦争終結に奔走した人々の思いや家族の葛藤を描く。本木は「普段、うちの家族は食卓であまりこうした大切なテーマは語らないのですが、17歳の息子が『この映画を観たい』と言って会場に来ているんです。こういう機会を与えてくれた作品に感謝です」と語ると、原田監督は「素晴らしいキャスト、スタッフと共に公開を迎えられました。8月8日はこの映画の開戦記念日。敵は『ミッション:インポッシブル』と『ジュラシック・ワールド』です」と意気込んでいた。(磯部正和)
映画『日本のいちばん長い日』は公開中