ピクサー、ソニーからアニメーターを引き抜き
新作『インサイド・ヘッド』が公開中のピクサーが、同作のためにソニーから多くのアニメーターを引き抜いていたことが明らかになった。『トイ・ストーリー』から関わっているベテランアニメーターのショーン・クラウスと、同じく長年ピクサーに勤めているアニメーターのヴィクター・ナヴォンが語った。
二人いわく、ピクサーのアニメーションは「自然主義的な傾向」があるという。ピクサーの多くのアニメーターたちは、自分たち自身で演技しているところを録画して、その演技をそのままアニメーションに取り込もうとする人が多いのだそう。しかし、今回の『インサイド・ヘッド』ではその自然主義的なアニメーションと、より動きが極端な漫画的なアニメーションを両立させるという、これまでのピクサー作品とは全く異なるアプローチを取ることになった。
そのことがきっかけで、ソニーからアニメーターを雇用することになったとショーンは話す。「彼らは極端に漫画的でした。僕らよりもずっとね。彼らは、表現方法をもっと極端にやっていたんです」。ソニーのアニメーターたちの仕事ぶりは彼らに刺激をもたらしたようだが、あまりにも漫画的表現が強すぎたために、今度は自然主義的な表現を指導することになったとのこと。ショーンは「そんな表現方法をする彼らは素晴らしかったですけれども、彼らの仕事を、もう少し現実に基づいたものにしないといけなかった」と振り返っていた。
ピクサー初の長編映画『トイ・ストーリー』がアメリカ公開されてから20年。公開当時、ピクサーの作品が世間に受け入れられるか不安だったという二人は、「こんなに長い間ここにいて、これだけたくさんの映画を作ることになるだろうとは夢にも思っていなかった」と感慨にふける。ショーンは『トイ・ストーリー』の制作当時、生まれていなかった人々と共に働いていることに驚いていると言うと、続けて「僕らはそれだけ年を取ったということですね」と笑顔を見せていた。(編集部・井本早紀)