三浦貴大、久々「マジメじゃない」男演じて手応え
俳優の三浦貴大が30日、大分県由布市で開催された第40回湯布院映画祭特別上映作品『ローリング』シンポジウムに柳英里紗、高川裕也、冨永昌敬監督らと共に出席、観客と熱い議論を交わした。
『ビクーニャ』(2002年)が水戸短編映像祭グランプリを受賞するなど、冨永監督とは縁の深い、茨城県水戸市で全編ロケが行われた本作。冨永監督の長編映画としては2006年の『パビリオン山椒魚』以来のオリジナル脚本作品となる。上映後のシンポジウムに来場した三浦は、「観ていただいたばかりの皆さんと、こんな至近距離で会うこともなかなかないので、緊張します」と観客との距離が近い会場の雰囲気に少々圧倒されている様子だった。
過去に犯した女子生徒の盗撮事件から逃れられない元教師・権藤(川瀬陽太)、彼と一緒に東京から流れてきたキャバクラ嬢のみはり(柳英里紗)、そんな二人とバッタリ出会い、みはりを奪ってしまう権藤のかつての教え子・貫一(三浦貴大)といったくせ者たちが、おかしくも悲しき人間模様を繰り広げる本作。「何でかよくわからないんですが、普段、僕はマジメな役が多いんですよ」という三浦は、「でも貫一は久々に自分に近い役が来たぞというくらいに、全然マジメじゃない部分があって。本当に楽しかったですね」と笑顔を見せた。
一方、2013年の『チチを撮りに』以来、2度目の湯布院ゲスト参加となった柳は「『チチ~』とは全然違う役なので、皆さんがどういう感想を持つのか気になります」とコメント。それに対し、冨永監督は「柳さんは『チチ~』とは違う役だと言っていましたが、僕はあの映画に影響された部分があったと思います。あの映画の中の柳さんはとんがっている印象でした。普段はかわいらしくしているけど、腹の中では……、というふうに受け取ったんです」と共通点を語った。また、もうひとりの主人公であり、本作で怪演を見せている権藤役の川瀬について「最初から川瀬さんでいこうと思っていました。川瀬さんがどす黒く輝くようにしたいなと思っていました」と付け加えた。
この日の冨永監督は、クライマックスの解釈やナレーションの是非、劇中に登場するオフビートなギャグについて観客と激しい議論を重ねるなど、冗舌。「普段はあまりしゃべらないんですが、湯布院の雰囲気に巻き込まれてしまいました」と充実した表情を見せていた。(取材・文:壬生智裕)