独立系映画界の雄、エドワード・バーンズの一世一代の挑戦!
数多くの独立系映画を手掛けてきたエドワード・バーンズ監督が、監督・脚本・主演を務めたテレビシリーズ「パブリック・モラルズ(原題) / Public Morals」について語った。
【写真】エドワード・バーンズ出演『コンフィデンス』ギャラリー
本作は、1960年代のニューヨークを舞台に、警察のパブリック・モラルズ(生活安全部)に属するテリー・マルドゥーン(エドワード)が、賭博、売春、ドラッグ、銃刀所持などさまざまな犯罪に対処していく中で、徐々に道徳と誘惑のはざまに身を置くことになるドラマ。
長年、独立系映画を製作してきたエドワードが、テレビシリーズを手掛けたのは「20年間低予算の独立系映画を製作してたどり着いた法則は、いかに妥協するかだ。十分な予算や時間はなく、毎日(撮影は)おまえ次第だと製作者から言われてきた。そのため、映像でストーリーを伝えるというより、俳優の演技をしっかりカメラで捉えてストーリーを観客に伝えてきた。そんな僕が18年間製作したいと考えてきたのが、このテレビシリーズだ。この企画が通った時点で、これまで映画でタッグを組んできた撮影監督、プロダクションデザイナー、衣装担当者を集め、彼らに『一世一代の挑戦になる』と言ったんだ」と明かした。
生活安全部に興味を持ったのは、「さまざまな犯罪の世界の中心に居るものの、その全てに対応するのに苦労しているキャラクターを描きたかったからだ。テリーの妻はニューヨークを離れたいと考え、一方、息子は問題に巻き込まれていく。さらにいとこが彼と同じ部署に配属されたり、警官を引退した父親からはテリーがあまり関わりたくないと思っている要求をされたりする。そしてこの部署には、若手とベテランの警官が居て、後にギャングとも関わっていくことにもなる」と答えた。
ストーリーの構成について「脚本を書き始める時点では、僕はテーマなどを考えない。テーマは脚本を執筆しながら徐々に現れてくるからだ。だから毎日のゴールは、観客が惹(ひ)き付けられるような脚本を書くことだ。それは僕が人生を通してとりこになったもので、例えばニューヨークの歴史、アイリッシュ系アメリカ人やギャング、そして警官だ。特に警官は僕の父が警官だったため、成長過程でいろいろ学んだ」と語った。長年温めてきたアイデアが、テレビシリーズとして実を結んだようだ。
今作は、アメリカのケーブルチャンネルTNTで放送中。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)