映画祭で町おこしを!それぞれの個性が光る「映画祭のつくり方」
映画祭主催者の体験談から映画祭の運営方法などを学ぶイベント「映画祭のつくり方 vol.2」(フリーマガジン「じじ神保町」主催)が12日に都内で開催され、個性的な映画祭の運営メンバーが集まり、映画祭作りの苦労や、将来の展望などを語り合った。
昨年に続き2回目の今回は「夜空と交差する森の映画祭」の矢部紗耶香さん、「下北沢映画祭」の平井万里子さん、「映画祭TAMA CINEMA FORUM」の佐藤友則さん、「10代の映画祭」の安藤勇作さん、「Kisssh-Kissssssh(きしゅ~きしゅ~~)映画祭」の大下直人さんが登壇した。
「日本初の野外映画フェス」として去年スタートし、今秋は山梨県・北杜市で開催される「夜空と交差する森の映画祭」の矢部さんが「音楽フェスのような映画祭を作りたくて、作品との偶然の出会いが生まれる空間作りと、場内を回って楽しめるスクリーン作りを心掛けています」と話すと、「下北沢映画祭」の平井さんも「演劇や音楽、ファッション、飲食も充実する下北沢なので、街の文化全体を入り口に映画に触れてもらいたい」と場所の個性が映画祭にとって重要であるという点は同じと語る。
一方、市民ボランティアによる「映画祭TAMA CINEMA FORUM」の佐藤さんは「僕らには、高齢化が進む郊外の活性化という目標もある。スタッフの年齢や価値観もさまざま。保守的になりがちで、どうやって新風を入れるかが課題。やっぱり仲間と楽しむことが基本」とスタッフ間のコミュニケーションをポイントに挙げた。「どこにでもある町おこしイベントにしたくない。地域に喜ばれるだけでなく、嫌がられてもこれがやりたいと、ガチンコでやり合う独立心があっていい」と強調したのは、和歌山県・加太の漁村で開催の「Kisssh-Kissssssh(きしゅ~きしゅ~~)映画祭」の大下さん。個性的な映画祭は「場所」と「人の思い」がキーワードということだろう。
異彩を放ったのは昨年、史上最年少オーガナイザーとして「10代の映画祭」を立ち上げた安藤さん。高校生の彼は「動画から映画へ10代がどんどん映像を製作し始めています。10代監督の思いを、映画祭で大人の観客にも知ってもらいたい」と話し、「インターネットで個別に映像が観られるからこそ、世代を超えた映画祭を」と訴えた。また、会場には現在企画中である「藤沢国際映画祭」の竹中翔子さんほか、多数の地方映画祭関係者も集まった。(取材・文:岸田智)