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ホラー映画に学ぶ幽霊頻出ポイント(屋内編)

コラム

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家の中は幽霊でいっぱい?
家の中は幽霊でいっぱい? - Ed Clark / Getty Images

 自分の後ろに何か違和感を感じるときがある。「え、家に幽霊いんの?」という拭い難い疑念と格闘し、心霊特番のたびに入浴時間が短くなったり、眠れなくなってしまうことも珍しくない。

 有史以来、幽霊はその存在を否定されつつも、人がえたいの知れない恐怖と向き合うたびにうわさとして、あるいは伝承として語り継がれてきた。われわれは幽霊がいるのか、いないのかという議論を保留したまま、彼らにおびえながら生活を営んでいるといっても過言ではない。そこで、いっそのこと彼らがそこら中にひしめき合っているものとして、ホラー映画の屋内幽霊出現ポイント(厳密には幽霊でないものもいる)を検証し、その傾向の模索を試みる。

電化製品

 Jホラーの代表選手である『リング』シリーズの貞子をはじめ、映画『回路』や『着信アリ』など、テレビ、パソコンや携帯を使った「うらめし」行為が散見される。幽霊界でも技術革新に向けて激しい動向がうかがえる。ビデオテープでの活動を主体としている貞子の今後の動きも警戒が必要かも知れない。「幽霊も言ってみりゃ電気信号の一種なんだよ」という根拠のないうんちくから発生したような電化製品系幽霊たちだが、文明の利器を手放せないわれわれにとって脅威であることには違いない。生前にとんでもないひどい仕打ちを受けた幽霊がほとんどで、普段よほどひどい振る舞いをしていない限りは知り合いがこの手の幽霊になることはないだろう。しかし、彼らの恨みは非常に深いもので、ほぼ無差別に人を呪う傾向が強い。
【対処考察】電源を切ることで解決するなら警察も陰陽師も要らない。劇中の登場人物のほとんどが電源を切って難を乗り切ろうとするが、どういう原理か起動する取りつかれた電化製品たち。怖くてあまり使いたくないけれど次世代エネルギーとして幽霊発電が近い将来、主流になるかも知れない。電化製品を極力使わない方向でのライフスタイル構築が急がれる。

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水周り

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子供の頃は幽霊といえばこの場所だった-David E. Scherman / Getty Images

 水と幽霊は古来より親和性が高く、特にトイレ、お風呂場は怪談話の老舗が軒を連ねている。映画作品では定番過ぎて敬遠されがちな印象だが、洗面器等の極小スペースでうまく幽霊活動をやりくりしている『』、井戸に居を構える貞子、『仄暗い水の底から』の美津子といった好例も存在する。蛇口をひねると髪の毛とか出てきたりするので注意。水を媒介にするために周囲が湿っているパターンが多く見られる。水死した人物の霊がほとんどで、遺体が発見されていないことが多い。『13日の金曜日』シリーズのジェイソンもこれに当たるが、肉体的にタフなのでいろいろな意味で別格だ。
【対処考察】生活に欠かすことができない水。蛇口を開いて異物が出てくる中で生活を送るのは難しい。銭湯も今日では馬鹿にならない出費になるので近隣で水死したかもしれない人物の遺体を捜索し供養することが唯一の近道。生活インフラを破壊された状況では引越しも選択の一つ。

寝室

 就寝時のリラックスした状態を狙う悪質な幽霊がいる。主にベッドの下や天井、布団の中といった頻出ポイントは注意が必要。ベッド下は『シックスセンス』をはじめとした海外組御用達のポジションだが、収納ボックスを配置することで彼らに立ち退きを迫ることが可能。アメリカの都市伝説にベッドの下にナイフを持った男が出現するというものが存在するため定番になっているきらいがある。海外では『パラノーマル・アクティビティ』『エクソシスト』など悪魔系が不思議とベッド周りに固執している印象。邦画と洋画ではだいぶ勝手が違うようだ。
【対処考察】明確な殺意をもって寝室に押し入ってくる幽霊のほか、ちょっと構ってほしくていたずら交じりにちょっかいをかけてくるパターンがあるかもしれない。寝室なので夫婦関係同様に「明日朝早いから」「疲れてるんだ」などのネガティブなワードで相手との距離をとることが大切。

収納スペース

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布団に入ってからは意識しないことが大切-FPG / Getty Images

 本来は物を入れるスペースであるにも関わらず「隙間さえあればどこにでも」といった貪欲なスタンスで出没する幽霊がいる。お隣の韓国からは『箪笥』、ポスト貞子の座を狙う『呪怨』の伽椰子、俊雄親子のうち息子の俊雄は押入れを拠点に出没する。頻出ポイントとはいい難いが、不穏な物音がした場合に最も嫌疑の矛先になりやすい場所。人は潜在的に押入れを恐れているのかもしれない。
【対処考察】もともと、物をしまうためのスペースで、こちらがわざわざ幽霊に居住空間を提供してあげる義理もないので、使わないものを限界まで収納してしまえば居場所がなくなって自然にほかの場所に移るかもしれない。近所に整頓好きな人がいる場合は幽霊に教えてあげると良いかもしれない。

幽霊の傾向

 幽霊の中には悲惨な死に方をしたものも少なくない。特にホラー映画に出てくる幽霊ともなると凶暴で見境なく襲ってくる連中がほとんどだ。それぞれによって活動範囲や条件が異なるので注意したい。また地縛霊でありながら活動範囲が異常に広い者もいるので油断ならない。特に邦画作品の幽霊は恨みを深く抱いているケースが多く、一度でも目をつけられるとどこまでも追ってくる。きっかけがなければ基本的に彼らが生活に介入することはあまりないように思えるので面白半分に彼らのテリトリーに近寄らないことが重要。むやみに心霊スポット探索などは控えたほうがよいだろう。総合的に見ると物を媒介にした出現以外に規則性は見当たらないので幽霊自身の人生にちなんだ個別の対応が必要なようだ。(編集部・那須本康)

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