ダニー・ボイル×ファスベンダー『スティーヴ・ジョブズ』はほとんど言い争いシーン!
現地時間18日、第59回ロンドン映画祭でクロージング作品『スティーヴ・ジョブズ(原題) / Steve Jobs』の会見が行われ、ダニー・ボイル監督、出演のマイケル・ファスベンダー、ケイト・ウィンスレット、ジェフ・ダニエルズ、マイケル・スタールバーグ、キャサリン・ウォーターストン、脚本のアーロン・ソーキンが出席した。
ファスベンダーがファンサービス!第59回ロンドン映画祭フォトギャラリー
本作はアップル社の創業者スティーヴ・ジョブズさんをファスベンダーが演じるもの。アップルを追放されるなど社会的な紆余曲折に、こちらもスムーズにはいかなかった娘リサとの関係を絡めて描いている。
長年にわたってジョブズさんの近くで働いたジョアンナ・ホフマンを演じたケイトが、「最初に台本を読んだ時、ページ1、ページ2とセリフが続いて『よくしゃべるのね』と思ったら、まあ、なんてこと! ページ55、まだ、しゃべる!」とジョーク交じりに語るように、ほとんどのシーンでジョブズさんと誰かが激しく言い争っている。
あえて時間軸に沿わせず、過去、現在と行き来するのがボイル監督らしいスピード感となっていて、アップル共同創業者スティーブ・ウォズニアック(セス・ローゲン)と自宅ガレージで働く初期のシーンも効果的に挟み込まれる。ボイル監督は「ガレージは本物なんだよ。そのうち博物館とかになるんじゃないかな」と明かしていた。
ジョブズさんが亡くなったのが2011年とわずか4年前なだけに、登場する関係者はほぼ存命している。ジョブズさんの家族は本作を歓迎していないといわれることについてファスベンダーは、「正直言うとためらいがありました。実在した人ですから、自分の夫、父親、友人がどう描かれるか心配するでしょう。傷つけるようなことはもちろんしたくはありません」とコメント。
鮮烈なイメージを残した人でもあるが、ソーキンは「1,000人の人がいたら、1,000種類のジョブズ像があるともいえます。彼のウィキペディアページのドラマチック版にはしていません。脚本として、彼が実際にはしていない言い争いも書いていますが、彼のパーソナルな複雑さをフェアに描いたつもりです」としていた。(取材・文:山口ゆかり / Yukari Yamaguchi)