俳優・ビートたけし、西島秀俊との初共演に「アガっちゃったよ」
2002年の映画『Dolls ドールズ』で役者と監督という立場で現場を共にした西島秀俊とビートたけしが、『劇場版 MOZU』で俳優として初共演を果たした。その仲人役を務めたのが、同作のメガホンを取った羽住英一郎監督。心の師弟コンビが13年ぶりに復活するまでの経緯を三人がユーモアを交えながら語った。
西島秀俊とビートたけしが激突!『劇場版 MOZU』フォトギャラリー
そもそも、たけしが『MOZU』のキーパーソンとなる「ダルマ」役に抜てきされたのはなぜなのか。そのルーツを追うと、ある焼き肉屋にたどり着く。「ロケ先の、北九州の焼き肉屋でしたね。まだテレビシリーズを撮っている最中で、ダルマが人物なのか、組織なのか、何なのか、はっきりしていない頃。もし、ダルマが実在する人物だったら、誰が演じるのかな? なんて妄想で話をしていました」と西島。すると羽住監督は、「そこで、ふっと頭に浮かんだのが、たけしさんだったんですね。ただそこにいるだけで説得力のある役者。西島さんも同意見だった」と述懐する。
これに対してたけしは、「ありがたいこと、これに尽きるね。だけど個人的には、北島三郎さんが『ダルマ』だと俺は思っているよ」とジョークを飛ばすも、怖さもあったとこぼし、「“ダルマ”はイメージや概念として(劇中に)存在しているから、別にいなくても成立するわけ。そこへ『これがダルマです』って出て行って、『え? これがダルマなの?』ってなっちゃうのがすごくつらい。観客にどう映っているのかが心配」と意外な一面を垣間見せる。
一方で「出番は少ないのにインパクトは絶大。こんなにおいしい役はない」とまんざらでもない様子。「紅白歌合戦の大トリで、衣装着けて出て来るような感じだからね」と笑顔を見せながら、「もし次に何かあるなら、今度は『おかめ』役で出てやろうかと思っている」とたけし節をさく裂させた。
本作で13年ぶりにタッグを組んだ西島とたけし。公安警察官・倉木役の西島は、たけしが演じる日本事件史最大の闇“ダルマ”に挑む役どころだが、「ご一緒できてうれしかったし、緊張もしたし、気持ちが高揚し、幸せで仕方なかった」とこみ上げる思いをストレートに表現。これに対してたけしは、「役者として今やトップにいるわけだけど、俺なんかいまだにパンツ1丁で走り回ったりしているから、ちょっと恥ずかしい。だから、西島くんと共演するとアガっちゃうんだよね」と照れまくっていた。(取材・文:坂田正樹)
『劇場版 MOZU』は全国東宝系で公開中