ラドクリフが惹かれた新しいフランケシュタインの物語
ダニエル・ラドクリフとジェームズ・マカヴォイが、タッグを組んだ話題作『ヴィクター・フランケンシュタイン(原題) / Victor Frankenstein』について語った。
本作は、科学者ヴィクター・フランケンシュタイン(ジェームズ)と彼の助手イゴール(ダニエル)が、生命の謎を解き明かすリサーチのためにさまざまな革新的実験を死体に施していく中、次第に狂気を帯びていくヴィクターに、イゴールはおびえ始めるというストーリー。映画『PUSH 光と闇の能力者』のポール・マクギガンがメガホンを取った。
作家メアリー・シェリーの原作「フランケンシュタイン」と映画版『フランケンシュタイン』について、ジェームズは「実は映画版は一度も観ていないが、メアリーの原作は2度読んだ。実際には映画版を観ている人は意外と少ないのに、なぜか怪物の姿や、僕が演じたフランケンシュタイン博士の髪が雷のショックによってチリチリになっている姿などを想像できたりする。もっとも原作には、猫背のイゴールは存在しないが、脚本家マックス・ランディスは、映画『ヤング・フランケンシュタイン』のようなコメディー要素も含め、面白い脚本を仕上げた」と語った。
ヴィクターとイゴールの関係について、ダニエルは「原作やこれまでの映画では、ヴィクターと怪物の友情関係が描かれてきた。本作では、狂気じみていくヴィクターに対して誰もが距離を置き始めていく中、イゴールは(助手としてだけでなく)友人としてヴィクターのことを(その狂気から)救いたいと思い、ヴィクターに対して絶大な忠誠心も持っている。だから、映画の後半でヴィクターが人を遠ざけていく中、イゴールだけがヴィクターの内面に良心を見いだしているんだ」と説明した。
本作に惹(ひ)かれた理由について、ダニエルは「恥ずかしがらずに娯楽性を追求している。もちろん、映画には感情を揺さぶられるストーリーがあり、知的な議論も交わされているが、それらだけでは娯楽映画としては成立しない。最も注目すべきは、新たな解釈をした大胆なエネルギーが今作にみなぎっていることだ。そのため、賢く新しいフランケシュタインの物語になった」と自信を持って答えた。
映画は、前半のヴィクターとイゴールの掛け合いが絶妙であることから、後半の彼らの関係にぐいぐい引き込まれていく作品。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)