安倍首相、異例の映画鑑賞 『海難1890』トルコの大統領と一緒に
安倍晋三内閣総理大臣が現地時間13日、トルコ共和国のレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領とイスタンブールで、内野聖陽主演の映画『海難1890』(田中光敏監督、12月5日公開)を鑑賞した。同作は、125年前に和歌山県串本町樫野崎沖で遭難したトルコ軍船の乗組員を現地の日本人が救助した「エルトゥールル号海難事故」と、その95年後にイラン・イラク戦争時の在イラン日本人をトルコ人が救出した出来事の二つの史実を基にした日本・トルコ合作映画。配給の東映によると、「合作とはいえ、両国のトップが一つの作品を鑑賞することは極めて異例のこと」だという。
トルコで15、16日に行われる20か国・地域首脳会議(G20)に出席する予定の安倍総理は、会議に先駆けてエルトゥールル号と縁のあるユルドゥズ宮殿でエルドアン大統領と同作を鑑賞。上映後に行われた共同会見で安倍総理は「ただ今、エルドアン大統領と見た『海難1890』は人類に普遍的な勇気と思いやりの物語であるとともに、エルトゥールル号事件125周年、トルコ航空による日本人救出30周年という記念すべき年の集大成といえる作品であると思います」と作品について語ると、「和歌山県・串本町で嵐に遭遇したトルコ軍艦の乗組員を命がけで救出し、献身的に介抱した日本人。ミサイルが飛び交うイラン・イラク戦争のもと、テヘランで各国の人々が脱出に向けて一刻を争う中、危険を顧みずトルコ航空の特別機を派遣し、日本人を優先的に救出して頂いたトルコの人々。125年前に、日本人が海で見せた精一杯の友情に対して、トルコの人々は95年後に空で応えてくれました。1985年3月、トルコによる日本人救出の際、外務大臣であった父・安倍晋太郎の秘書官として、私はこの歴史的瞬間の話を耳に致しました。あの時の感動と感謝の気持ちは今でも忘れませんし、今、プレミア上映を一緒に拝見をさせて頂きまして、あの時の感動・感激が再びよみがえって参りました」と熱弁した。
上映会には田中光敏監督と、トルコ人キャストのケナン・エジェらも同席しており、ケナンは「二つの国の友情と(安倍首相が)G20の前にイスタンブールに寄ってくれたことに感激です。そこにも友情が強くあらわれています。日本の歴史に残る1日になったのではないかと思います。友情があったからこそできた上映会でした」と両国の深い絆に感激していた。(清水一)