完全にアクションスター!犬たち怒りの蜂起を描く『ホワイト・ゴッド』迫真の逃亡劇!
人間に虐げられた犬たちの蜂起を描き、第67回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門でグランプリを受賞したハンガリー映画『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』から、一級のアクション映画のような犬たちの逃亡劇を捉えた本編映像が公開された。
「雑種犬の飼い主には重税を課す」という悪法が施行されたとある町を舞台に、強制的に離れ離れにされてしまった少女リリと、雑種犬ハーゲンの姿を描く本作。過酷な旅の中で野生を目覚めさせたハーゲンはやがて、保護施設から脱走した数百匹の犬たちと共に、自分たちを虐げた人間への復讐を果たすべく走り出す。
映像で映し出されるのは、行き場のない犬たちが生活する空き地にたどり着いたハーゲンが、野良犬を捕獲しようとやってきた保護局の人間たちから逃亡する姿。次々に仲間たちが捕まる中、狭い路地やアパートの一室を走り抜けながら人間の追跡をかわすハーゲンの姿は、さながら『ボーン・アイデンティティー』のジェイソン・ボーンだ。
CGは使用されておらず、荒々しく捕らえられていく犬たちの演技は、本当に虐待されているかのようなリアルさ。このシーンは、実際に保護施設に入っていた犬たちを訓練して撮影されたといい、本作の動物コーディネーターを務めたテレサ・アン・ミラーは、撮影開始までの約4か月間、犬たちに約50名のトレーナーをつけ、家族のようにすごしながら訓練を施したという。
どんな訓練よりもテレサが重視したのが、犬たちとの絆を深め、どんなときにも「あなたたちは私たちにしっかり守られてるんだよ」と信じてもらえるように努めること。このシーンでは、そのトレーナーたちが、犬たちと鬼ごっこゲームをしながらリアリティーあふれる動きを導いた。テレサは「嫌がらないように、そして嫌なことは我慢しないように事前に、“紐などをひっぱたり、噛んだり、吠えたりしても良いんだよ”ということは教えておきました。そして撮影時は、いろんな方向から犬たちに声をかけて前後させ、犬たちの混乱の様子を演出しました。撮影も滞りなく進み、人も犬もケガ、事故なく終えることができました」と振り返っている。なお同作は、撮影の後、映画に出演した250匹以上の犬たち全てに里親が決まったことでも話題を呼んだ。(編集部・入倉功一)
映画『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』は11月21日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開