なぜ、人食い映画なのか?『食人族』に取り憑かれた男イーライ・ロスが語る!
アメリカの若き慈善活動家たちがペルーのジャングルで人食い族に遭遇し地獄を体験する……という監督最新作『グリーン・インフェルノ』が間もなく日本公開となるホラー界の鬼才イーライ・ロス監督が、この衝撃作について語った。
【動画】無慈悲な食人シーン…『グリーン・インフェルノ』予告編
この映画がルッジェロ・デオダート監督の『食人族』(1981)に影響を受けているのは明らか。まずあの映画との出会いについて聞くと「19歳のときにレーザーディスクで観たんだ。未知の映画だったね」とロス監督。いざ鑑賞してみると「自分が目にしたものが信じられなかったよ。ネットもなくて情報が入らない時代だから、劇中で本当に人を殺しているんだと思った(笑)。取り憑(つ)かれて何度も何度も観た。素晴らしいと思ったよ。完全に狂っている」と『食人族』への深い愛情をストレートに吐露した。
21世紀の今、もはや誰も作れないであろうこの種の野蛮で残虐なカニバル映画を撮った理由は何だったのだろう?「他に類を見ない度肝を抜く作品を作りたかったんだ。バイオレントで血みどろでクレイジーな映画をね」とロス監督。さらにこう続ける「あとTwitterアクティビストやソーシャルジャスティスウォリアーと呼ばれる、SNS上の独善的な活動家たちの存在が脳裏にあった。ジャングルが実際に地球から消滅しつつある事態だしね。タイミング的に今だと思ったんだ」。
ペルーのジャングルでの撮影で最もチャレンジングだった点を聞くと「全てだね」と回答。「朝5時半に起きてジープに乗って、川沿いの危険な道を走って村に向かわなければいけなかった。気温も常に43度とかで、湿気もすごかった。虫にも常に刺されたし。日差しも強烈だった」。そして村では「カメラを見たことがない150人の素人の村人たちを統率し、撮影しないといけなかった。電話も病院もないしね……。周りにはタランチュラや毒蛇がうようよしていたよ」と過酷な撮影を述懐した。
最後に、次回作となるパニックアクション『メグ(原題) / Meg』について尋ねると「スティーヴ・オルテンのベストセラー小説の映画化なんだ。バスみたいな超巨大なサイズのサメが、パックマンみたいに全てを食べつくす作品だよ。製作費1億ドル(約120億円・1ドル120円計算)の超大作で来年から撮影が始まるよ!」と笑顔でコメント。ロス監督にとってキャリア史上一番の大作になりそうなこの作品にも期待したい。(取材・文:小林真里)
映画『グリーン・インフェルノ』は11月28日より新宿武蔵野館ほか全国公開