トルコ大統領をゴラムと比較して侮辱罪で裁判に…ピーター・ジャクソンが援護射撃「あれはスメアゴルだ」
トルコのエルドアン大統領の写真を映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズに登場するゴラムの画像と並べてツイートし、トルコ人医師ビルギン・チフチが侮辱罪に問われている裁判について、シリーズの監督を務めてきたピーター・ジャクソンが援護射撃を行った。TheWrapなどが報じた。
チフチが、エルドアン大統領とゴラムの「驚いた顔」「笑った顔」「物を食べている顔」が似ていると並べてツイートしたことで始まったこの裁判。しかし、裁判官が『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを観たことがなかったため、(見た目はちょっと不気味だが)果たしてゴラムは悪者なのか、そしてこれが大統領を侮辱する罪にあたるのかを判断するべく、シリーズに詳しい専門家を招くことになったと地元メディア Today's Zaman が伝えていた。チフチは今回の件で10月にトルコ公衆衛生局の職を解かれ、有罪となれば2年の禁錮刑となる。
これに対しジャクソン監督は「今回使われた画像は全て、ゴラムではなくスメアゴルです」とそもそも裁判の前提が間違っていると、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズを手掛けてきたフランシス・ウォルシュとフィリッパ・ボウエンとの連名で声明を発表。「スメアゴルは楽しくてスウィートなキャラクターです。スメアゴルは嘘をつかず、人を騙したり、操ったりしません。邪悪でも、狡猾でも、意地悪でもないです。そうした特徴はゴラムのものです。彼はスメアゴルと混同されるべきではありません」。
ゴラムはもともとスメアゴルという名のホビットで、指輪によって邪悪な存在になったとされている。ゴラムとなっても彼の中にはスメアゴルの人格があり、二つの人格の衝突は劇中でも見ることができる。ジャクソン監督は「スメアゴルは自分より弱い者に力を振るおうなどと考えません。彼はいじめっ子ではなく、実際とても愛すべきキャラクターです。だからこそ、世界中の観客が彼を愛しているのです」と暗に今回の行為は大統領の侮辱には当たらないとした。(編集部・市川遥)