元オウム信者・菊地直子&平田信モチーフの映画上映に上祐史浩氏からメッセージ!
宗教団体オウム真理教の元信者をモチーフとした映画『愛のゆくえ(仮)』(2012)と『潜伏 SENPUKU』(2013)の上映会が8日、渋谷のユーロライブで行われた。上映後には、それぞれの作品で主演を務めた女優の土屋貴子と前川麻子、そして作家の雨宮処凛がオウム真理教について語りあった。
この日上映されたのは、17年間にわたって逃亡生活を続けていたオウム真理教、元幹部の平田信氏と、彼と生活を共にしていた女性を題材に描いた『愛のゆくえ(仮)』。そして、同教団元信者で逃亡生活を続ける菊地直子氏と、彼女をかくまい続けた同居男性をモチーフにしたラブストーリー『潜伏 SENPUKU』の2作品。くしくも先月27日、東京都庁小包爆弾事件で殺人未遂ほう助罪に問われていた菊地被告が、東京高等裁判所から逆転無罪の判決を言い渡されたことが話題となったばかりのタイミングでの上映となった。
『潜伏 SENPUKU』で菊地被告をイメージした主人公を演じた土屋は「(菊地被告が)無罪判決を受けたときに、わたしのところにおめでとうメールがたくさん来た」と苦笑い。「役作りにおいて監督は、何も調べなくていいよとおっしゃったので、何も調べなかった。だから正直言ってオウムのことはよく分からない。ただ役者として彼女がどういう精神状態だったのかを考えただけでした」と付け加えた。一方の前川は、今回の企画について「最初はエグい企画だなと思って。どんなお客さんが来るんだろうとドキドキしていました」と切り出して観客を沸かせた。
今回の上映会にあたり、元オウム真理教のスポークスマンであり、現在は同教団から分派した団体であるひかりの輪の代表を務める上祐史浩氏からもメッセージが寄せられた。そこには「菊地元信者の無罪判決は、上の指示に無思考に従う当時の教団の信者のあり方から見れば、合理的なものだと思います。しかし、無罪にもかかわらず逃亡した背景には、えん罪を極度に恐れる当時の教祖と信者の被害妄想的な傾向があると思われ、その意味で、本来は不必要にもかかわらず、17年もの間、逃亡したことが非常に残念に思います」と書いてあり、さらには被害者および捜査機関への謝罪の言葉、およびひかりの輪として被害者賠償契約を履行していく意志なども書き連ねてあった。その言葉に前川は、「本当に真摯(しんし)な気持ちでメッセージを書いてくださった」と述べていた。(取材・文:壬生智裕)