『ロッキー』新章、特訓シーン公開!『クリード』に見るシリーズの痕跡
シルヴェスター・スタローンが生んだボクシング映画『ロッキー』の新たな物語を描く『クリード チャンプを継ぐ男』(全国公開中)から、シリーズの伝統でもある特訓シーンが公開。同作にはこの場面だけでなく、随所に『ロッキー』の痕跡を感じさせる描写やロケーションが登場する。
『ロッキー』シリーズといえば、ロッキーが生卵を飲んでロードワークにはげみ、生肉をサンドバッグ代わりにたたく場面などに代表される特訓シーンも醍醐味の一つ。ロッキーが、かつて試合中に命を落とした親友アポロの息子アドニス(マイケル・B・ジョーダン)をボクサーとして鍛える本作では、フィラデルフィアの街を舞台にしたハードトレーニングに挑むロッキーとアドニスの姿が描かれる。
自身を鍛えてくれたトレーナー、ミッキーのように自らが指導する立場となったロッキーの用意した特訓は、かつて自身も挑んだような、アナログでハードなメニュー。ニワトリを追い掛け、パンチングボールをたたき、限界を超えてなわとびに勤しむアドニスと、そんな彼を厳しくも優しいまなざしで見守るロッキーの姿は、『ロッキー3』で失意の底にあった彼を鍛えたアポロのようだ。
本作には、ロケーションにも『ロッキー』の痕跡が残されている。劇中には、まさに『ロッキー3』でアポロがロッキーを鍛えた「デルファイ・ジム」、そしてロッキーがミッキーとトレーニングを積んだジムである「マイティ・ミッキー」も登場。マイティ・ミッキーの外観は、『ロッキー』シリーズで使用した建物で撮影。さらに、ロッキーが経営するレストラン「エイドリアンズ」の撮影も、『ロッキー・ザ・ファイナル』で使用された店舗が使われているという。
また当然のことながら、まさにロッキーの「聖地」であるフィラデルフィア美術館も、ここぞ! という場面で登場する。また、バイカーを従えランニングに励むアドニスの姿は、人々を巻き込みながらフィラデルフィアの街路を走ったロッキーの姿そのものだ。
しかし、さらに重要なのは、本作が『ロッキー』がそうだったように、単なるスポ根ものではない、何度打ちのめされても立ち上がりつづけてきた男たちの夢や友情、家族への思いを描いた人間ドラマになっていること。シリーズが持ち続けてきた熱い魂をしっかりと継承した、正真正銘の新章の誕生だ。(編集部・入倉功一)
映画『クリード チャンプを継ぐ男』は全国公開中