本物の不良を俳優に起用した『孤高の遠吠』がゆうばり映画祭グランプリに!
「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2016」のクロージングセレモニーが28日に北海道夕張市の合宿の宿ひまわりで行われ、静岡県富士宮市の本物の不良を起用して作り上げた小林勇貴監督の『孤高の遠吠』がオフシアター・コンペティション部門グランプリに輝いた。
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若手映画人の登竜門として、多くの才能を発掘してきた同部門。今年は、実際の暴力事件をベースにした物語を、総勢46名の本物の不良たちを役者として起用したバイオレンスムービー『孤高の遠吠』がグランプリを獲得した。不良の先輩から原付バイクを買ったことをきっかけに、不良の世界に足を踏み入れてしまった4人の少年たちが、拉致、リンチ、監禁、拷問が横行する言葉の通じない世界で、超暴力主義の先輩たちから理不尽な扱いを受ける姿を映し出す。
本作のメガホンをとった小林監督は、静岡県富士宮市出身、現在は東京在住の25歳。平日はデザインの仕事に従事し、休みとなる土日を使って映画撮影を行ってきたという。オフシアター・コンペティション部門の審査員長・柏原寛司から呼ばれた小林監督は意気揚々とガン飛ばしのパフォーマンスをしながらステージに登壇。柏原から「(賞金となる次回作制作支援金の200万円で)原付バイクを買わないようにね」とちゃかされた小林監督は、「原付じゃなくていい単車が買えます!」とはしゃぎつつも、「ああうれしい! ほかの映画を作ってくれた人たち、映画を観に来てくれた人たちといいケンカができましたね。これからも作り続けるんで、また観てやってください」とあいさつした。柏原も「テレビに比べて映画は毒を盛れる。だから映画は犯罪的であるべき。しかし最近はそういうことができなくて頭に来ていたときにこの映画を観たので思わず推薦してしまった」と本作を選んだ理由について述べた。
「グランプリはとれないと思いましたね」と素直に語る小林監督。「(賞金などで)お金が絡んでくる映画祭っていくつか行ったんですけど、どうしてもお金をあげやすい作品に行くことが多いと思っていたので。でもこの映画祭は反逆しているし、ケンカしている。いいね!」と不敵に笑ってみせた。(取材・文:壬生智裕)