リリー・フランキー&橋本愛、沖縄の海で死の恐怖を実感!
映画『シェル・コレクター』で主演を務めたリリー・フランキーと共演者の橋本愛が、ロケ地となった沖縄・渡嘉敷島でのエピソードや、海中撮影で味わった恐怖体験を明かした。
リリー演じる盲目の貝類学者が、世界に蔓延する奇病をイモガイの毒で治癒してしまったことから、予期せぬ方向へと運命が動く様を描く本作。盲目を演じるために入念なリサーチを重ね、「生まれて初めてコンタクトレンズをはめて、常に視界をぼかして何も見ないようにしていた」というリリーは、「撮影が終わったあと視力が落ちました」と穏やかにほほ笑みながら打ち明ける。
そんな彼の本気ぶりを、「本当に見えていない方のように、さらっと流れるように演じられるんです」と証言するのは、イモガイによって命を救われる少女・嶌子を演じた橋本。どこか浮世離れした嶌子を演じるにあたって、「現実離れしているようなキャラクターだからこそ、演じるときは地に足をつけていたかった」と語る橋本を、「今回の役は、橋本愛自身が持つ包容力と面妖さが出ている。あんなに強風が吹く断崖絶壁が似合う10代(撮影当時)はいない!」とリリーも絶賛した。
沖縄・渡嘉敷島の海で撮影した美しい映像や、時折インサートされる抽象イメージなど、圧倒的なビジュアルパワーが印象に残る本作。中でも圧巻なのが、海中に沈んだ学者が自然と対峙するシーンだ。実際に着の身着のまま海に潜り、30秒間も息を止めていたというリリーは、「自分で思っていた以上に怖いんですよ」と告白。「撮影が終わると、一緒に潜ってくれた女性スタッフがバーッと来て僕の口に空気を入れてくれるんですけど、その子にしがみついちゃいました。これぞ“吊り橋理論”。完全に好きになっていました(笑)」とジョークめかしながらも、水中マスクすらせずに海底で見えない何かを凝視したリリーの役者魂に頭が下がる。
しかも、撮影は1月。沖縄とはいえ真冬は寒い。「僕はまだ潜っていたからいいんですよ。寺島しのぶさん(奇病に侵される女・いづみ役)は裸で海に浮いていたんです。直前まで身体をあっためてから水に入るって、冬場にジイさんが風呂場で死ぬパターンですよ!」と熱弁するリリーに、賛同する橋本。彼女も海で泳ぐシーンに挑戦しているので、寒さと闘ったに違いない。それぞれが身体を張って臨んだ演技に注目だ。(取材・文:斉藤由紀子)
映画『シェル・コレクター』は公開中