『思い出のマーニー』オスカーは厳しい?今年も立ちはだかる“強敵”
第88回アカデミー賞
第88回アカデミー賞授賞式がいよいよ日本時間29日に迫った。日本からはスタジオジブリの『思い出のマーニー』が長編アニメ映画賞にノミネートされ、大きな注目を浴びているが、今年もディズニーという強敵が立ちはだかっている。
『借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌が監督を務め、イギリスの作家ジョーン・G・ロビンソンの児童文学を映画化した『思い出のマーニー』は、舞台を北海道に置き換え、苦悩を抱えて生きる12歳の少女・杏奈と、彼女同様に深い悲しみを心に宿すミステリアスな少女マーニーとの出会いを描いたファンタジー。アメリカでは昨年、『When Marnie Was There』のタイトルで公開された。
同作のほかには、ディズニー/ピクサーの『インサイド・ヘッド』をはじめ、イギリスの人気テレビシリーズ初の劇場版『映画ひつじのショーン ~バック・トゥ・ザ・ホーム~』、『エターナル・サンシャイン 』の脚本家チャーリー・カウフマンらが監督を務めた『アノマリサ(原題) / Anomalisa』、ブラジルの『父を探して』が長編アニメ映画賞にノミネートされている。
日本作品が同部門にノミネートされるのは、同じくジブリの『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』に続いて3年連続だが、おととしは『アナと雪の女王』、昨年は『ベイマックス』といずれもディズニー作品に受賞を譲っており、ジブリにとって3度目の正直となるか、そして日本作品かつジブリ作品として『千と千尋の神隠し』以来13年ぶり2度目の受賞となるかに期待が集まっている。
米林監督も現地時間25日に米ロサンゼルスで行われたQ&Aイベントで「アメリカの方であっても、思春期の心の揺れや中身っていうものは、日本と同じものなんだなと。特に『マーニー』は命のつながりの物語。日本の方であろうとも外国の方であろうとも、それは同じように心に響くんじゃないかと、今回確認できました」とノミネートの手応えを語っていた。
しかし、今年は『インサイド・ヘッド』が、アカデミー賞に次いで権威のあるゴールデン・グローブ賞でアニメーション作品賞を受賞した上、“アニメ界のアカデミー賞”といわれるアニー賞でも最多10部門を総なめにするなど絶好調。一方、『マーニー』はゴールデン・グローブ賞にはノミネートされず、アニー賞では監督賞、脚本賞、インディペンデント作品賞の3部門で候補になったものの受賞はならなかった。
前哨戦の結果からいえば、『インサイド・ヘッド』が大本命で『マーニー』の受賞は厳しそうというのが正直な予想だが、日本人としてはまだ希望を残しておきたいところだ。(編集部・中山雄一朗)