三島由紀夫の異色小説映画化!リリー&亀梨が宇宙人親子に
三島由紀夫作品の中では異色の“SF”小説「美しい星」が、『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八監督によって映画化され、リリー・フランキーと亀梨和也(KAT-TUN)が「自分たちは地球人ではない。宇宙人だ」と突然目覚めた親子を演じることが明らかになった。
「美しい星」は1962年に発表された、ミシマ文学の中では特に異彩を放つSF小説。核戦争勃発の恐怖に脅える冷戦下の国際情勢を背景に、自分たちが“宇宙人”だと気づいた家族が、“地球人”を救おうとするさまを風刺たっぷりに三島が描いている。
吉田監督がメガホンを取る本作では、原作で「ごく短期間教鞭をとった以外は大学卒業以来働いたことのない資産家で高等遊民」という設定だった主人公・重一郎(リリー)が、ヘラヘラといい加減に生きている“当たらない”で有名なテレビのお天気キャスターに。「モラトリアムを生きるシニカルな学生」の設定だった長男・一雄(亀梨)は、暗い野心をたぎらせるフリーターという役柄に変更された。
また、『桐島、部活やめるってよ』で吉田作品への参加経験がある橋本愛が自分の美しさが最大のコンプレックスという女子大生の長女・暁子を、中嶋朋子が怪しい“水”ビジネスにはまり込むイマドキ主婦の母・伊余子を担当する。重一郎、一雄、暁子はそれぞれ火星人、水星人、金星人へと覚醒するが、伊余子だけはなぜか覚醒せず地球人のままだという。
『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』など、小説作品の映像化に定評のある吉田監督は「原作の精神を尊重しつつ、人類生き残りに有り金まるごと賭けて悔いなし、そんな宇宙レベルのエンターテインメントを目指す」とコメント。三島のファンであり吉田のファンでもあるというリリーは「自分でいいのか?」という不安もあるが、「“予報が外れてもアリなキャラクター”なら何とかなるかも」と語る。
そんなリリーと親子を演じることになる亀梨は、吉田監督の脚本に「今の時代の問題意識」が描かれており、それは自分自身も意識していることだったと明かす。先月23日に誕生日を迎えて30歳になった亀梨は、「このタイミングで、このテーマで、しかも吉田監督とのお仕事というのは、自分はとてもついていると感じます」と作品への意欲を述べている。(編集部・海江田宗)
映画『美しい星』は2017年5月より全国公開