1,000人超え殺人、世界7番目の富豪となった麻薬王エスコバル…
コロンビアの麻薬密売組織メデジン・カルテルの創設者であるパブロ・エスコバルの光と闇に迫る犯罪ドラマ『エスコバル/楽園の掟』で、叔父となったエスコバルに翻弄される役で新境地を開いた『ハンガー・ゲーム』シリーズなどのジョシュ・ハッチャーソンが、エスコバルの魅力について語った。
サーファーのカナダ人ニック(ジョシュ)は兄が暮らすコロンビアを訪問し、美貌の女性マリア(クラウディア・トライサック)と出会う。たちまち二人は恋に落ち、やがてニックはマリアが慕う叔父パブロ・エスコバル(ベニチオ・デル・トロ)を紹介される。だが、国会議員として慈善事業を行うなど人気を集め、資産家でもあるエスコバルには、1,000人もの殺人に関与する残忍非道なもう一つの顔があり……。本作は、世界で7番目の富豪にまでなった伝説の男が築き上げたファミリーの栄光と、その背後に隠された過酷な犯罪の実態をあぶり出す。
麻薬王エスコバルは、犯罪者でありながらもいまだに地元で人気を誇っている。なぜエスコバルはそれほどまでに人を惹きつけたのか? 「ニックは愛のせいで判断力を失っている時に、エスコバルの偉業を見てしまった。家族に優しく人々に尽くす姿を見て、悪人の顔を知るまでは善人だと信じてしまう。でもそれがエスコバルの特徴だ」とジョシュは演じたキャラクターを通してその理由を述べる。「よく知られてるけどコロンビアの地元では、(エスコバルは)多くの慈善事業を行ってた。だけどかなりイカれた点もあり、映画でも両方の顔が描写されてる。イカれたギャングの帝王でありながら、家族を愛し絆を強める一面も持っている。(エスコバルのために)命がけで動く人が多いから影響力があったと思う」と人との絆を大切にするエスコバルの一面が、彼を麻薬王としての成功に導いたのだろうと指摘。
さらには、「人は誰でも盲目になってる時は、自分が対処できる以上のことをする。だからニックに共感しやすいと思う」とエスコバルとの関係によりニックが取る行動には共感を示すジョシュ。しかし、夢らしい夢を持たずに生きてきたニックに対し、「だけど僕は夢を見て生きてきたから全然違う。どちらかと言うと自分と似た役柄が多いので、(ニックは)違っていて楽しめた」とも語っているように、ジョシュの今までにない演技を堪能できるとともに、『チェ』シリーズなどの名優ベニチオが怪演した麻薬王の表と裏の顔に引き込まれていく一作だ。(編集部・石神恵美子)
映画『エスコバル/楽園の掟』は3月12日よりシネマサンシャイン池袋ほかにて全国順次公開