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永瀬正敏、海外の現場を経験して感じた“メイド・イン・ワールド”への期待

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第2回「オーサカ Asia スター★アワード」を受賞した永瀬正敏
第2回「オーサカ Asia スター★アワード」を受賞した永瀬正敏

 3月4日から13日の日程で開催された第11回大阪アジアン映画祭(以下、OAFF)にて、アジア映画界に多大に貢献し、今後もさらなる活躍が期待される映画人に贈られる第2回「オーサカ Asia スター★アワード」を受賞した俳優の永瀬正敏が、これまでに参加した海外作品を振り返るとともに、映画界の国際交流に対する期待を語った。

 ジム・ジャームッシュ監督の『ミステリー・トレイン』、アジア6か国の監督による『アジアン・ビート』シリーズなど、海外作品にも積極的に参加してきた永瀬。近年では、台湾で大ヒットを記録した『KANO ~1931海の向こうの甲子園~』の演技で日本人で初めて中華圏のアカデミー賞といわれる金馬奨主演男優賞にノミネートされるなど、現地でも高い評価と人気を獲得している。「『KANO』は、役者デビュー30年を一つの区切りとしてゼロからスタートしようと思っていた時に撮った作品なので、特別なものがあるんです。野球部の子供たちが初めて演技をする17~18歳のティーンエイジャーで、30年前の僕とまったく同じシチュエーション。感慨深かったですね」。

 今回のOAFFで上映された日本、中国、シンガポール、タイの若手監督4人によるオムニバス映画『ファイブ トゥ ナイン』には、日本パート(宮崎大祐監督)にヤクザな映写技師役で出演している。「久々のドンパチもの、ノワール感満載のプロジェクトで、最近あまりやっていなかったような役でした。過去のそういう作品を観て下さっていた世代の方々がもう監督になられているってことですよね(笑)」と言うように、かつて「私立探偵 濱マイク」シリーズなどで見せたハードボイルドな魅力を円熟の存在感で発揮。出演作は脚本で選ぶのが前提だとした上で、「この作品は企画がとてもいいなと思ったんです」と出演経緯を振り返る。「ベルリン映画祭に招待されていた若い監督さんたちがその場で意気投合して、何か作ろうという話になったものを具体的に成立させた。そういうのは国際映画祭の醍醐味ですが、なかなか頻繁には実現しないものなんです。でも、彼らが一歩踏み出されたその心意気がすごく素敵だなと思いました」。

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 今年のOAFFでは、本作以外にも国境を越えた合作プロジェクトや人的交流で生まれた作品が目立った。アジア各国の現状と比較すると、日本の映画界はまだまだ他国との合作が少ない。海外作品の経験も豊富な永瀬は「アジアだけでなく、刺激を与え合って“メイド・イン・ワールド”の映画がどんどん作られていくといいなと思います」と映画界の国際交流にも期待を寄せる。「違う文化が混ざり合うと新しいことが生まれるし、文化の違いを学べる場にもなる。でも、現場を経験していて思うのは、映画を作るっていう行為自体はどこの国でもそんなに違いはないんですよね。ただ、相手をリスペクトして行くことが大事で、『たぶん製作費が安く済むからアジアで撮ろう』みたいな考えでは止めたほうがいいと思います」。

 最後に、今後仕事をしてみたいアジアの映画人を尋ねると、「素晴らしい監督や役者さんがいっぱいいるからな~」と本気で困った表情を見せた後で台湾の実力派俳優チャン・チェンの名前を挙げた。「『KANO』をきっかけに、ひさしぶりに連絡をとらせてもらうようになったんです。一緒に日本映画でもやってみたいし、台湾や香港の彼の土俵に僕が参加させてもらうのもいいなと思うし……役者というか、人として、とってもいいんですよ、随分年下ですけど(笑)。『アジアン・ビート』の撮影で1991年に台湾へ行った時に、ちょうど同作のプロデュースをして下さったエドワード・ヤン監督が『クー嶺街少年殺人事件』(※クーの字は「牛」へんに古)を撮っていて。その時初めて(同作でデビューした)チャン・チェンに会って、彼の“誕生”の場に立ち会っているんです。去年『さいはてにて~やさしい香りと待ちながら~』でご一緒したチアン(・ショウチョン)監督も『クー嶺街~』に出演されていた方ですし、何年、何十年かたってご縁が途切れずに続いていることを、とても嬉しく感じたここ2~3年でしたね」。映画作りは人と人の共同作業。映画を愛するのと同様に、縁を繋いだ仲間たちも大切にする永瀬の誠実さが、国境を越えて更なる縁を結んでいくのかもしれない。(新田理恵)

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