あのヒットメーカーが岡田准一『図書館戦争』幻のタイトルバックの存在を明かす
映画『GANTZ』2部作を大ヒットさせ、今後も『アイアムアヒーロー』『デスノート 2016』などの話題作の公開を控える佐藤信介監督が、興行収入18億円の大ヒットを記録した映画『図書館戦争 THE LAST MISSION』の幻のタイトルバック映像の存在とカットの理由を明かした(数字は日本映画製作者連盟調べ)。
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有川浩によるシリーズ累計600万部突破のベストセラー小説を原作に、映画版第1作を2013年、その続編となるドラマスペシャル「図書館戦争 BOOK OF MEMORIES」と、映画版第2作『図書館戦争 THE LAST MISSION』を2015年10月に公開した実写版『図書館戦争』シリーズ。前作は原作ファンからも好評を博したが、続編公開後の反響についてはネガティブな意味で前作と比較されることもなく「こちらの狙い通りにそれぞれ単独の作品としても楽しんでもらえたようです。と同時に、より深く作品世界に没入する体験ができたという感想を聞く機会が多かった」と語る。
思想検閲やメディア規制が横行するパラレルワールドの日本を舞台に、本を読む自由を守るため、図書館が武装化して立ち向かうことになる本作は、架空の世界ながらも現在と地続きに感じられるリアルな世界観を作りこむ難しさがあった。また、激しいアクションと胸キュンのラブストーリーが融合したエンターテインメント大作でもあるだけに、異なるジャンルの2作品を同時に撮るような大変さもあったという。
プレミアムBOXに収録された特典映像ではその製作過程の一端を観ることができ、未公開シーン集には、5分以上に渡る幻のタイトルバック映像も収録されている。これは冒頭でわかりやすく世界観を伝えるため導入部分として制作したものだったが、もともと「かっこいいタイトルバックで盛り上げた後で日常のドラマが始まるという定番のオープニングは、1作目でもやったので今回は違うアプローチを」との意図があった。
「映画が始まったら自然な流れでいつの間にか物語に入っていける作りにしたかった。タイトルバック内のメインキャラクターの登場カットもさりげなく見えるように撮ったりしたのですが、いろいろ試行錯誤するなかで、タイトルバックをほとんどカットしてみたんです。少しだけ予兆のような映像だけを残し、冒頭すぐに本編の戦闘が始まる形にしてみると、狙っていた流れに合致した。入り口で多少わからない部分があっても、徐々に世界観がわかってくる方が、物語の冒頭を集中して観てもらえるようになったと感じたんです」とカットした理由を明かした。
『図書館戦争』シリーズや『GANTZ』2部作、そして、公開を控える新作映画『アイアムアヒーロー』『デスノート 2016』など、映像化の困難な大作を次々と手掛けている佐藤監督。そこには「日本には漫画や小説などで想像力豊かな作品が多数あるのに、僕ら映画界にいる人間が、それを映画にできないとは言いたくないし、日本映画の市場規模でも創意工夫次第で実現できることを示したい」との思いがあるそうで、今後も日本のエンターテインメント映画をけん引していく存在となるだろう。(取材・文:天本伸一郎)
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