三浦友和、南果歩にDV…“家族という名の地獄”『葛城事件』予告編
俳優の三浦友和が主演を務め、劇団「THE SHAMPOO HAT」を率いる赤堀雅秋がメガホンを取った新作映画『葛城事件』の予告編が公開され、三浦が妻役の南果歩に家庭内暴力を振るうなど、無差別殺傷事件を起こした死刑囚の家族が崩壊していく様を実力派俳優陣たちが鬼気迫る勢いで演じている姿が披露された。
理想の家族を作れたと思っていた主人公・葛城清(三浦)だが、次男・稔(若葉竜也)が無差別殺人事件を起こし、死刑囚になったことで、人生の歯車が狂わされていく様子を描き出す本作。無差別殺傷事件を起こす次男・稔に新星・若葉が抜てきされているほか、やがて精神を病む美しい妻・伸子を南、リストラされ居場所を失う長男・保を新井浩文、稔と獄中結婚をする女・星野順子を田中麗奈といった演技派たちが演じる。
このたび公開された予告編で、「ヤツを裁けるのは国だけだ。国がきちんとアイツを処分してくれる……」というまがまがしいつぶやきとともに現れるのは、三浦演じる主人公・葛城清。赤堀監督が「これは三浦友和さんの代表作になると、僕自身は勝手にそう思ってます」と語っていたように、理想の家族を作ることができていたつもりなのに、その思いの強さから気づかぬうちに家族を抑圧的に支配していく父親の姿を浮き彫りにしていく。
“一発逆転”と称し駅構内で無差別殺傷事件を起こし死刑囚になる稔。面会室で星野に向かって「そもそも、罪を犯したという意識すらないから」と豪語するシーンをきっかけに、不穏な重低音が鳴り響き始める。伸子や稔に暴力を振るう清、苦悶の表情を見せる保、生気を失い青ざめた表情の伸子、そして無差別殺傷事件の現場などが映し出され、「俺だって被害者なんだよ」「あなた、それでも人間ですか?」「俺が一体何をした?」というセリフが飛び交う。凄惨な殺傷事件の背後にある加害者家族の隠された闇が俳優たちの圧倒的な演技によって観客に突き付けられていく。
葛城一家は、“家族という名の地獄”から抜け出せるのか。人間の本質に根ざす無様さや滑稽さ、残酷さや狂気を登場人物の生き様を通してあぶり出してきた赤堀監督が紡ぐ本作で、葛城一家のたどる運命に引き込まれていく。(編集部・石神恵美子)
映画『葛城事件』は6月18日より新宿バルト9ほか全国公開