中谷美紀、演技に自信がなかった…長年舞台に挑戦しなかった理由を告白
女優の中谷美紀が1日、都内で行われた主演舞台「猟銃」の初日前会見と公開ゲネプロに出席、長らく舞台に挑戦してこなかった理由を「自信がなかった」と感慨深げに語った。
本作は、中谷が2011年に舞台初出演&初主演を飾った名作舞台の再演。カナダ人演出家のフランソワ・ジラールが井上靖の同名小説を舞台化し、中谷が一人の男へ近づく三人の女の揺れる思いを一人三役で熱演する。
本舞台について中谷は「1時間ほぼ喋りっぱなしの舞台。説明的な描写のセリフも多くて、セリフを覚えるのが大変でした。初演の時はセリフを覚えるのに1か月もかかったんですけど、今回は1週間半ほどしか時間がなくて、『どうしようかな』って挫折しそうになりました」と苦笑い。
続けて中谷は、女優としてのキャリアは長いものの、舞台の世界へは2011年まで足を踏み入れることはなかった理由について「自信がなかったから」と説明。「この作品と出会うまで舞台のお仕事をしたことがありませんでした。長い間逃げ続けておりまして、どんなにいいお話をいただいても遠慮していました」と言うと、「体力にも自信がありませんでしたし、演技にも力という意味では自信がありませんでした。また、大きな劇場に声を響かせるだけの技量もないと思っていたんです」と振り返った。
さらに、初演時にジラールとの出会いで、そういった不安を「すべて払拭してもらえた」と語ると、「そもそも人間は何も持たずに生まれてきたんだからと彼から教えてもらいました。彼が演劇界の父でもあり母でもあります。小さな赤子が一人で歩けるようになるまで温かく見守ってくださった」とジラールの存在に感謝した。
会見にはジラールと共演者のロドリーグ・プロトーも出席。ジラールは中谷の発言に嬉しそうな表情で「真の女優としての才能をお持ちの上に素晴らしい自制心を持っていた。演出家として一番満足できるコラボレーターという感じ。この出会いに感謝しています」と中谷の才能に改めて賛辞を贈っていた。(取材・文:名鹿祥史)
舞台「猟銃」は4月2日~24日まで渋谷・PARCO劇場にて公演