香港アカデミー賞発表!アーロン・クォック、5度目の挑戦で主演男優賞を初受賞!
現地時間3日、今年で35回目を迎えた香港のアカデミー賞こと香港電影金像奨授賞式が香港文化センターで行われ、『SPY_N』(2000年)での共演を機に、藤原紀香との恋の噂も浮上した“香港四大天王”の一人、アーロン・クォックが自身初となる主演男優賞に輝いた。
2008年に実際に起こった猟奇殺人事件をモデルにしたサスペンススリラー『踏血尋梅(原題)』で、事件を追う初老の刑事を演じたアーロン。白髪混じりの髪型で役づくりに徹した彼のほか、今年最多となる12部門でノミネートされていた本作では、撮影賞を日本でもおなじみのクリストファー・ドイルが、脚本賞を監督のフィリップ・ユンが受賞。その後も、助演女優賞を被害者の母を演じたべテラン、エイレン・チンが、新人賞と助演男優賞を容疑者役のマイケル・ニンがダブル受賞。さらには、タン・ウェイやカリーナ・ラムといった本命を抑え、被害者役を務めた新人ジェシー・リーが主演女優賞を受賞するという番狂わせもあり、会場内の視線は一気に、発表を待つアーロンに注がれた。
主演男優賞のプレゼンターを務めたカリーナ・ラウが、アンディ・ラウやレオン・カーファイなど、候補者を読み上げた後、「過去に受賞したことがないのはアーロンだけ」とあおるという、思わず息を呑むシーンもあったが、その直後に発表したのは今回が5度目の候補入りだったアーロンの名。涙ながらに力のこもったスピーチを披露した彼は、ジェシーらと共に、この日の主役となったのは言うまでもない。
『踏血尋梅(原題)』は今回の7部門での受賞のほか、昨年の韓国・富川国際ファンタスティック映画祭でも作品賞など3部門で賞を獲得するなど、国内外で評価が高いだけに、日本での配給・公開も待たれるところだ。
ちなみに、今年の授賞式冒頭ではマイケル・ムーア風アニメで、異例ともいえる金像奨の定義や投票法などが司会のラウ・チンワンによって解説された。公平さを訴える中、今年の作品賞に輝いたのは、現在直面している強まる中国支配をテーマに、5人の新人監督が10年後の香港の姿を描いた『十年』(第11回大阪アジアン映画祭で上映)。インディーズのオムニバス作品が受賞するのはじつに稀なことだが、その「恐れない気持ち」に対して、香港映画人たちが強いエールを送った結果ともいえるだろう。(取材・文:くれい響)
第35回香港電影金像奨の主な結果は以下の通り
■最優秀作品賞
『十年』
■主演男優賞
アーロン・クォック『踏血尋梅(原題)』(日本未公開)
■主演女優賞
ジェシー・リー『踏血尋梅(原題)』
■助演男優賞
マイケル・ニン『踏血尋梅(原題)』
■助演女優賞
エイレン・チン『踏血尋梅(原題)』
■監督賞
ツイ・ハーク『タイガー・マウンテン 雪原の死闘』