真木よう子、ギャップのある子供時代を語る
映画『海よりもまだ深く』の完成披露試写会が24日、丸の内ピカデリーで行われ、阿部寛、真木よう子、吉澤太陽、樹木希林、是枝裕和監督が出席。物語にちなんだそれぞれの人生のターニングポイントを語った。
同作は『海街diary』などの是枝監督が、『奇跡』以来の阿部と樹木とのタッグで描くホームドラマ。小説家になる夢を諦めきれないまま探偵事務所で働く中年ダメ男(阿部)が、たまたま実家に集まった母(樹木)、元妻(真木)、息子(吉澤)と台風の一夜を過ごすさまを笑いあり感動ありで映す。
作品を振り返り阿部は「ここまでダメな男を演じたのは初めてです。でも、こういう男って憎めなくてかわいいなと自分で楽しんで、撮影は楽しかったです」と話し、「せこいところとか弱いところはすごく好きでした」と共感。
狭い団地の一室で行われた撮影には阿部が「撮影するには小さな部屋だったのでギュウギュウになりながら撮影をしていて、その距離感が面白かったです」と語ると、真木も「是枝組は穏やかな現場なので、変に緊張感があったりプレッシャーをかけてやることはなくフラットな状態でできました」と撮影の様子を振り返った。
また、思い描いていた未来とは少し違う現実を生きる家族の姿にちなんで、それぞれ人生のターニングポイントを話す一幕も。阿部が「俳優の仕事に就くとは思っていなかったので、そこで人生が変わりました」としみじみ話すと、真木は「子供の頃すごく変わっていて、空を飛んでいる飛行機に自分が追いつけると思いながら走っていたので、そこら辺からじゃないかな」とクールなイメージとは異なるギャップを明かして会場は大きな笑いに。一方、樹木は「癌に出会った時に、先を計算できる生き方をしないといけないなと思いました」と振り返った。
さらに、この日の会場にはこれまでの是枝監督作品に出演していた子役を是枝監督自身が招待していることを樹木が明かし、「子役の人生が変わってしまわないように、その後のフォローをしていて。なまじ芸能界に入ったばかりに道を誤る事もあるけど、そこまで責任 をもって子供と関わる監督は見事だなと思います」と称えていた。(取材・文:中村好伸)
映画『海よりもまだ深く』は5月21日より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほかにて全国公開