『シビル・ウォー』のアクションはなぜ面白い?ルッソ兄弟が明かす裏側
キャプテン・アメリカとアイアンマンの対立をきっかけに、最強チーム「アベンジャーズ」が分断するさまを描いたアクション大作『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のメガホンを取った兄弟監督のジョー・ルッソとアンソニー・ルッソが、映画作りへのこだわりを明かした。
『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』で、興行面だけでなく批評的にも成功をおさめたルッソ兄弟。『シビル・ウォー』では、アベンジャーズが国連の管理下に置かれるという政治的な要素と、友情に苦悩するキャプテン・アメリカの物語をシンプルにまとめ上げ、10数名に及ぶヒーローたちにしっかりと見せ場を用意。マーベルらしいユーモアも盛り込んでみせるなど、その手腕を遺憾なく発揮している。
少ない見せ場で各キャラクターを掘り下げる手腕についてジョーは、二人で手掛けた「ブル~ス一家は大暴走」「コミ・カレ!!」といったテレビシリーズで学んだと証言。「そういった番組では、キャラ毎に小さなストーリーアーク(話数を重ねて語られる一連の物語)を作らないといけなかった。マーベル作品でも同じことをしたんだ」と説明。アンソニーも、「観客に、各キャラの背景が全てわかるわけじゃないけど、何が起きていてどうやって話が進んで行っているのかを理解してもらえるように、一生懸命取り組んだよ」と自信をのぞかせる。
またアクションシーンも、悪役クロスボーンズとキャップが激突する冒頭から、アベンジャーズが一堂に会して激突するクライマックスまで、手抜かりのない完璧さ。『ウィンター・ソルジャー』でもリアリテイーと緊迫感あふれるアクションを創造した二人は、「アクションはキャラクターやストーリー主導で描かれるべき。ストーリーに貢献しないアクションを見せても、観客は興味を失うだけ」と主張する。「キャラクターがアクションの間も何かを決断し、ストーリーが前進することが重要なんだ。主人公たちはアクションを通じて自己表現し、同時にアクションはストーリーを押し進めなくてならない。表層的なものでは、退屈になるだけだ」。
それだけに、多数のヒーローが活躍する本作のアクションは困難を極めたという二人。空港のシーンだけでも数か月を構想に費やしたというが、意外にもドラマ部分は楽だったと明かしたジョーは、「キャストの多くは彼らのキャラクターを長い間演じてきた。それに、スティーヴン・ソダーバーグ作品並みの一流キャストが揃っているからね」とクリス・エヴァンスやロバート・ダウニー・Jrをはじめ、実力派俳優を起用するマーベル作品の利点を語った。(編集部・入倉功一)