「森田剛の八重歯の感じがイイ!」『ヒメアノ~ル』の監督が語るジャニーズスターの魅力
古谷実の人気漫画に基づく映画『ヒメアノ~ル』の吉田恵輔監督が、本作が映画初主演となるV6の森田剛への思い入れを語った。常人には理解しづらいサイコキラーの難役、その名も「森田」を演じた森田剛だが、これまでに関ジャニ∞の安田章大、Sexy Zone の中島健人と、ジャニーズ事務所に所属するアイドルのメンバーを演出してきた監督いわく「ジャニーズの人たちにできないことはほとんどない」そうだ。
その上で「強いて言うなら何をやってもカッコよくなっちゃう。森田君にとって人を殺す役は初めてだから普通はもっとジタバタするはずなのに、本人は普通にやっているつもりでも突き飛ばされると一回転しちゃったり、身体能力が高すぎてアクションも華麗に見える。だから逆にドンくさくなるように、常に口を半開きにしてもらったり、猫背になってみようかと言って、カリスマ性を削いでいきました」とジャニーズならではの演出の秘訣を明かす。
男女問わず「昔からアイドルが好き(笑)」と豪語するだけあって森田への愛も惜しみない。「森田君が『学校へ行こう!』(TBS)という番組に出ていたとき、モニターを見ながらバカみたいに笑っていた姿がかわいいなあと思っていて。あと八重歯の感じもいい! それでいて背中に哀愁があるというか、後ろ姿を撮ると、立っているだけでものすごい何かを『背負っている』感がある。役で気持ち悪いことをしていてもどこか華を感じさせるのはジャニーズの強さだし、本人がこれまでのキャリアの中で培ってきたものなんだろうなと思います」。
原作では森田の心情がモノローグで赤裸々に描写されているが、映画では彼の胸の内は一切語られない。そこには「映画は全部を語らずに、観客にいろいろ想像させなきゃいけない」という監督の思いがある。そして「森田君には言葉で説明しない部分を想像させる力がある。サイコキラーという感情移入しえない役でも、観ている人が自分には関係のない特殊なやつだと突き放すんじゃなくて、興味を抱かせるし、こいつのこの瞳は何を見ているんだろうという気持ちにさせる」と森田の存在感に太鼓判を押した。
V6のメンバーとしてステージに立っているときとは一味違う、役者としての彼の新たな一面に触れた『ヒメアノ~ル』は、「カッコよくない」森田剛の魅力に触れられる一本となっている。(取材・文:那須千里)
映画『ヒメアノ~ル』は5月28日より全国公開