クリステン・スチュワート、使い古したスニーカーでレッドカーペットに登場!?
第69回カンヌ国際映画祭
現地時間17日、第69回カンヌ国際映画祭でコンペティション部門出品作『パーソナル・ショッパー(原題) / Personal Shopper』の公式上映が行われ、主演のクリステン・スチュワートがレッドカーペットに登場した。ハイヒールでなくフラットシューズを履いた女性が正装ではないとして公式上映への入場を拒否されるなどドレスコードに厳しいことで知られるカンヌだが、クリステンは使い古したスニーカーでレッドカーペットを歩いた。
腕の部分が羽のようになったシャネルの白のドレスに使い込まれてクタっとなったデニム地のスニーカー……というまさかの組み合わせでレッドカーペットを歩く姿は写真にも収められているが、実はこれは公式上映後に会場から立ち去る際の装い。入場時には黒のハイヒールを着用しており、リラックスして映画を鑑賞しようと中で履き替えたようだ。
『パーソナル・ショッパー(原題)』は、忙しいセレブに代わり、パリとロンドンを行き来して洋服やアクセサリーをそろえる“パーソナル・ショッパー”のモーリーン(クリステン)を主人公にしたドラマ。死んだ双子の弟ルイスからと思われるメッセージが彼女のもとに届くようになり、ファッション業界のきらびやかさとホラーなゴーストストーリーが交錯していく。『アクトレス ~女たちの舞台~』に続く、クリステンとオリヴィエ・アサイヤス監督のタッグ作だ。
22日にはコンペティション部門の監督賞を受賞したアサイヤス監督は、公式上映と同日に行われた会見では「僕たちが想像力とともに生きている現実を描きたいと思った」と明かしていた。「仕事などの現実的な世界と、亡くなった人たちや思い出から成る想像の世界がある。モーリーンはそうした二つの世界を行き来できる道を探している」「双子の弟を亡くしたことから立ち直り、ルイスの双子としてではなく、彼女自身のアイデンティティーを見つける旅なんだ」。
モーリーンの携帯には弟ルイスと思われる謎の人物からのテキストメッセージが入るようになり、彼女は怖がりながらもそのやり取りに夢中になっていく。アサイヤス監督は「ちょっと実験的な映画にしたいと思った」と会話をテキストメッセージで表現することにしたといい、「こうしたコミュニケーションの手段に囚われ、“人質”になってしまうというのは、程度の違いこそあれ誰もが感じていること。人がいかに中毒になってしまうかというのは恐ろしい。実際、携帯で連絡を取って情報を得る、というのは僕の人生で重要なものになっているから、そうした要素を入れた現代的な映画を作ろうと思った」と新たなチャレンジだったと語った。
会見に同席したプロデューサーのシャルル・ジリベールは「彼は常に新しい領域を探し、常に進んでいこうとしている。彼に後れを取らないようにしなくてはいけないけど、そうした監督と働くのはとても楽しい」とアサイヤス監督を称賛。チャレンジ精神をなくさず新たな表現を追求するそうした姿勢が、監督賞の決め手になったといえるかもしれない。(編集部・市川遥)