濱田岳&ムロツヨシ、10年来の友情のワケ
漫画家・古谷実の2本目の実写映画化作品となる『ヒメアノ~ル』で、清掃会社の後輩・先輩を演じた濱田岳とムロツヨシが、プライベートでも親交の深い2人ならではの友情トークを交え、撮影を振り返った。濱田がまだ10代のころに『アヒルと鴨のコインロッカー』(2006)で共演した俳優の瑛太を介し、知り合ったという2人は、干支でちょうど一回りの12歳差。劇中では高校時代の同級生だったサイコキラーの森田(森田剛)と再会したことにより世間のダークサイドに巻き込まれる冴えない清掃員の岡田と、そのちょっと風変わりな先輩の安藤を、それぞれ演じている。
岡田という役は「共演者の方々に作ってもらった感覚が強い」という濱田。「普通に生活していて安藤さんみたいなおかしな人に出会ったとしても、なかなかその人と真っ当に会話のキャッチボールをしづらいと思うけど、ムロさんを前にそれをしなきゃいけなくなった岡田の困りっぷりには多分、素の僕が出ていたと思います」と語る。さらに「僕はずっと男子校で、かわいい女の子に告白されるというのは夢というか妄想でしかなかったので、それが現実に起こったときの岡田のドギマギも自然に体現できました」と役づくりの裏側を明かした。
一方のムロいわく安藤は「ドがつくピュアな人」。「他人が楽しく生活しているのを妬んだり、それを口にも出すし、全部正直にものを言うところがすごいなと。僕なんかはそういうことを感じてもウソをついたり、もっと上乗せしてきれい事を言いたくなっちゃうんですけど、だからこそ安藤のピュアなところに惹かれます」と、強烈なインパクトを与える役の魅力を語った。
2人きりで共演するのは初めてだったそうだが、「どうしてもセリフの言い方や、次にどういうお芝居をしようかと考えてしまう僕みたいなタイプとは違って、岳くんは相手の言うことを聞いてそれに反応する。これは恥ずかしがることなく言えるんですけど、岳くんの演技に関しては本当に尊敬しています」とムロが言えば、「今回は吉田監督が僕らの“間”を面白がって芝居でもやらせてくださったのが本当にありがたくて。それがムロくんとがっつり共演できた意味でもあるし、とってもうれしかったですね」と、役者同士としての信頼関係もあらためて深まったようだ。
今では「お酒を飲んでいて、話をしなくても、多分無言で1時間一緒にいられると思う」(ムロ)、「“間”が怖くないよね」(濱田)と言い合う仲。そんな2人のリアルな「間」が生かされた本作には、この2人だからこそ成り立った友情のあり方が描かれている。その掛け合いと距離感は笑いを誘うだけでなく、涙なくしては観られないものになっているはずだ。(取材・文:那須千里)
映画『ヒメアノ~ル』は5月28日より全国公開