『日本で一番悪い奴ら』素顔が一番悪い奴はダレ?
北海道警察の刑事が裏社会に染まっていく姿を描く映画『日本で一番悪い奴ら』で、悪すぎる男たちを演じた綾野剛、中村獅童、YOUNG DAIS、植野行雄(デニス)、ピエール瀧の5人が、この中でリアルに悪いのは誰なのか、赤裸々に語り合った。
危険な違法捜査や薬物に手を出す主人公の刑事・諸星(綾野)をはじめ、諸星のスパイとなる暴力団幹部(中村)、麻薬の運び屋(DAIS)、盗難車バイヤーのパキスタン人(植野)、そして諸星に悪事を教える先輩刑事(ピエール)、それぞれ個性豊かなワルを演じきった5人。そこで実生活でリアルに悪いと思う人は誰なのか尋ねると、「それはピエールさんですよ」と中村が即答。するとピエールは「獅童くんだっていろいろあるでしょ」と中村に意味ありげな視線を送る。
そんな中、「このお二人の経験値には、僕らは敵わないってことですよ」と綾野がやんわり口を挟むと、「いやいやいや、綾野くんこそあるでしょう。あるある、ありますよ」と満面の笑みを浮かべるピエール。すかさず綾野が「そんなこと言ったら、行雄くんだって、中学の頃は最強のワルだって言われていたらしいですよ(笑)」とトークのバトンをお笑い芸人である植野へ渡す。
そのバトンを受け、「そう、小6の頃からヒゲが生えていたし、相撲大会も3年連続で優勝して、みんなから裏の番長だと思われていましたからね。実は普通の日本人なのに(笑)。“歩く凶器”とか“沈まぬ太陽”って呼ばれていました」と植野が嬉々として語ると、ピエールはこらえきれずに吹き出し、「“沈まぬ太陽”って、今日イチで面白かった。なんかパキスタンっぽいし(笑)」と芸人の本領を発揮した植野を称賛。さらにDAISからは「実は、いつもニコニコしている僕が一番悪い奴かも」と意外な発言が飛び出した。
和気あいあいとしたやりとりから、結束力の強さを感じさせる5人。中村いわく「長期のロケで一緒に食事をしたり、朝まで飲み明かしてコミュニケーションを取ったことが、役づくりに多少なりとも影響した」のだという。最後に「犯罪を描いているんですが、それとは別に、この作品は人間賛歌だと思っているんです。“日本で一番悪い奴ら”が“日本で一番愛おしい奴ら”になる瞬間が多々あります」と語った綾野。その言葉通り、本作は諸星とスパイたちが肩書抜きで向き合い、絆を育んでいく様子が心に残る映画だ。(取材・文:斉藤由紀子)
映画『日本で一番悪い奴ら』は6月25日より全国公開