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ジャニーズに佐藤健、菅田将暉…目立つ若手俳優人気!上海っ子が日本映画を熱烈歓迎

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仕事をしてみたい中国の俳優を聞かれ、「内容によりますから『この人と』とはまだ思わないけども、中国の俳優さんは素晴らしいし、監督にも素敵な方がたくさんいます」と山田監督
仕事をしてみたい中国の俳優を聞かれ、「内容によりますから『この人と』とはまだ思わないけども、中国の俳優さんは素晴らしいし、監督にも素敵な方がたくさんいます」と山田監督

 阪本順治監督の最新作『団地』に主演した藤山直美の金爵賞最優秀女優賞受賞で幕を閉じた第19回上海国際映画祭(6月11日~19日)。中国映画業界の急成長に伴い、年々その規模を拡大している同映画祭で日本映画が存在感を示したのは、コンペティション部門の藤山の受賞だけではない。特筆すべきは、世界初上映の新作から、小津安二郎作品など名作の4Kデジタル修復版まで、50本以上という上映本数。その盛り上がりからは、上海の映画ファンの日本映画に対する関心の高さと、若手俳優の動向をいち早くキャッチする情報感度の高さがうかがえた。

山田洋次作品と二宮和也の人気で『母と暮せば』大盛況

 中国でもファンの多いジャニーズ事務所所属タレントの出演作や、女性を中心に高い人気を誇る佐藤健主演の『世界から猫が消えたなら』など、若手俳優の出演作のチケットは発売開始とともに秒殺でソールドアウト。また、岩井俊二園子温など、個性ある監督の作家性に惹かれて日本映画をチェックしている映画ファンも多く、舞台あいさつはいずれも熱気に包まれた。

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 オフィシャル推薦作品として山田洋次監督の映画が2本続けて上映された日の午後、『母と暮せば』を観た直後の30代の女性は目を赤く腫らしていた。「山田監督の映画は、“昭和”の懐かしいにおいがして、とても好き。じわじわと胸に響いてくるものがあった」。一方、20代の男性は、「僕は『東京家族』みたいな家族をテーマにした温かい山田作品が好き。これから観る『家族はつらいよ』に期待している」と言う。

 日本映画界を代表する大御所の新作とあって、この日は山田作品をずっとチェックしてきた熱心な映画ファンはもちろん、主演の二宮和也が目当ての若い女性も劇場につめかけた。また、「『小さいおうち』にも出演していた黒木華さんのたたずまいが良い」と黒木を称賛する声も。「彼女は岩井俊二の新作にも出てるのよね」と、皆一様に監督の過去作や出演者情報に明るい。

■面白ければ大笑い!反応がストレートな中国の観客

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藤山の代わりにトロフィーを受け取った阪本監督 写真提供=上海国際映画祭

 ゲストの舞台あいさつ時はもちろん、上映中でも面白ければ大きな声で笑い、周囲を気にせず意見交換するのが中国流。静かに鑑賞することを良しとする日本の観客には受け入れがたい環境かもしれないが、『家族はつらいよ』の上映に先がけ、舞台あいさつに登壇した山田監督はこう語りかけた。「日本では、映画が始まる前に『静かに観てください』とか、『前の座席を蹴らないで』とかテロップが出て、いろいろ言われます。僕はあれを見るのが大嫌い。僕の映画は、おかしかったら大声をあげて笑ってほしいし、友だちと話したかったら話し合いながら賑やかに観てほしい。本当におかしかったら、前の座席を蹴っ飛ばしてほしい。皆さん、楽しんで観て下さい!」。

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 中国の観客の反応は、きっと山田監督の期待通りだったはずだ。『セトウツミ』(7月2日公開)がパノラマ部門で上映された大森立嗣監督は、「映画に対して素直な感じがしました」と中国の観客の反応の良さに驚いた様子。大阪の高校生2人が関西弁で“しゃべるだけ”という特殊なシチュエーションの作品だけに、上海での上映が決まったときは「あの漫才のような大阪弁の掛け合いがどこまで伝わるのか?」と不安もあったそうだが、フタを開けてみると満員の会場は終始笑い声に包まれ、同作のゆるい笑いは上海っ子にも大うけ。上映終了後、観客に囲まれてサインやセルフィーの撮影を求められた大森監督は「中国のお客さんはアツいね!」と笑顔を見せた。

■インターネットで瞬く間に拡散、情報の早い中国の若者たち

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予想外の劇場の大きさに、大森監督は「大きなスクリーンに合わない映画だなと思いました(笑)」と思わず苦笑い

 『セトウツミ』や山田監督の2作品が上映された劇場は、幅24メートル、高さ11メートルの巨大スクリーンが設置された1,000人以上収容できる大ホール。「あんな大きな劇場に、あんなにお客さんが入るって、なかなかないこと」と大森監督。「中国や韓国の映画って、どこかハリウッド映画に似てるところがあるので、こんなオフビートな映画が作られる日本の環境は特殊。あまり観たことがない映画だったんじゃないかな」。 

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 実は、『セトウツミ』は大森監督が登壇した公式上映の前日までに別会場でも上映が行われており、SNS上に「予想以上に面白い!」という投稿が相次いでいた。普段は韓国映画をよく観るという20代男性は、「ネットで評判を知ってチケットを人から譲ってもらったけど、観て良かった」と大満足の様子。口コミで評判が広がった好例と言える。

 また、主演の菅田将暉のファンだという若い女性も多かった。彼女たちは菅田のことを、親しみを込めて「蘇打」(スーダー)と呼ぶ。日本語と発音が近く、「ソーダ」という意味を持つ言葉だ。「ネットでドラマ『民王』を観て『蘇打』のファンに」「バラエティー番組に出ていた『蘇打』がかわいくて好きに」などという声も。視聴手段に問題があるとはいえ、日本のエンターテインメント情報の伝播の速さには驚くべきものがある。政治的には冷え込みが続く日本と中国の関係だが、エンターテインメントを通した交流には壁がないことを実感させられた上海国際映画祭。日本映画に対する関心の高さはホンモノだった。(新田理恵)

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