綾野剛のイレギュラーが好き!監督&共演者が明かす
5日、綾野剛主演の映画『日本で一番悪い奴ら』の公開を記念し、同作や『凶悪』などで知られる白石和彌監督が7日間連続で行う「日本で一番連続なトークイベント」の4日目が新宿バルト9で開催され、主人公・諸星要一(綾野)を違法捜査へ追い込む上司を演じた、演劇集団「ナイロン100℃」の看板俳優・みのすけと、悪に染まった諸星に若い頃の純粋さを思い出させる新米刑事役を務めた中村倫也が出席。ワルくてヤバすぎる登場人物たちが笑えて愛おしく見える理由を、撮影の裏話を交えつつ語り合った。
警察への忠誠を誓ったはずの北海道警察の刑事・諸星の「歪んだ正義」が暴走し、やらせ逮捕、おとり捜査、拳銃購入、覚せい剤密輸とあらゆる悪事に手を染めていく姿を実話を基に描く本作。諸星の銃器対策課時代の上司・岸谷を怪演したみのすけは「銃器対策課というのは、全体がナンセンスコメディーなんです。間違ったことを全員が正しいと本気で思ってやっている。これを俯瞰で見たら、すべてが変でおかしな世界に見えるわけ」と話し、「僕の役は本当にヒドくて部下への言葉自体がおかしいんだけど、本人の中では筋が通っている。ツッコミのいないボケっぱなしの世界ですよ」と振り返る。
一方、中村は自身が演じた新米刑事・小坂について「おかしな世界ができあがったところへ、純粋な新人が警察に憧れて入ってくる。凶暴な動物に簡単に捕食されそうなピュアな顔をして、実は腹黒いところもある」と分析。さらに「若い頃の諸星と対比できる軸。彼に昔をフラッシュバックさせる存在になりたいと思いました。きっと諸星と同様、小坂もやがて悪に染まっていくんだろうけど」と続けた。主人公を熱演した綾野については、「綾野さんは台本に書いてある以上に小坂に絡んでくれて、『お前、誰だっけ?』って水をバシャーってかけられました」とうれしそうな表情を見せながら語った。
すると白石監督が「あのシーンは、急に綾野くんが『(中村に)水をかけたい』と言い出したんだ」と補足。みのすけから「白石監督はセリフが終わってもカットをかけないから役者はその先をアドリブで演じ続けるんだけど、何か台本にないことが生まれると信じているところがある」と指摘された白石監督は、「(カットをのばした)あるシーンで綾野くんが椅子を叩いたら、みのすけさんの座るはずだった椅子がコロコロ転がっちゃって……。みのすけさんは芝居を続けながら座るものを目で探して、その顔が最高だった」とニヤリ。「本能と感覚があらわれて、そこが超おもしろいんです。僕は綾野くんがそういうイレギュラーを起こすのを期待しているところがありますね」と述懐し、強面(こわもて)キャラたちの愛らしい一面を引き出す演出方法について明かしていた。(取材/岸田智)
映画『日本で一番悪い奴ら』は全国公開中