ロミジュリの華やかさの裏に『スター・ウォーズ』あり
『ロミオ&ジュリエット』『ムーラン・ルージュ』『華麗なるギャツビー』といったバズ・ラーマン監督による豪華絢爛で華やかな映像の裏には、『スター・ウォーズ』のジョージ・ルーカス監督の影響があるという。ラーマン監督自身が、ルーカス監督からプリビジュアライゼーションの技術を教わったことを明かした。
Netflixのオリジナルドラマ「ゲットダウン」の製作総指揮を務めているラーマン。スーパーバイジング・プロデューサーで脚本家のネルソン・ジョージと共に同作の取材会場に現われた彼は、音楽と印象的なビジュアルを多用して作る自身の作品においては、脚本作業が何よりも難題になると明かす。今回の作品「ゲットダウン」も、その例外ではなかったよう。「最初はうまく行かなかったんだ。途中で製作行程をストップしなければならなかった」。
完成形の画面が全く見えない脚本作業では、音楽一つにとってもラーマンの悩みの種になる。その音をミュージカル風に使った方が効果的なのか、それともBGMとして使用すべきなのか……苦悩するラーマンは、以前ルーカスから学び取った仕上がりの画面を一度、CGなどを使いイメージとして作りシミュレーションするプリビジュアライゼーションの方法を選択した。
「僕は『ロミオとジュリエット』の時から絵コンテを描いているんだ。僕がそのやり方を考え出したわけではない。ジョージ・ルーカスがこの方法を教えてくれたんだ。彼は『スター・ウォーズ』を作る時にプリビジュアライゼーションという方法を考え出した。(CGの技術が発達していなかった)その時は模型を作ってビデオに撮り、映像をつなげていたんだって。僕は『ロミオとジュリエット』を作る時にスカイウォーカーランチに行ったんだ。あの映画はあそこで作った。その時にジョージがプリビジュアライゼーションのやり方を教えてくれた」。
そう語るラーマンにとって、文字のみの脚本の役割は「行程を示す地図」なのだとか。脚本家が書いたセリフという地図に、音楽やダンス、映像のコラージュなどのさまざまな要素を詰め込んで、ようやく彼が指揮を執る撮影の行き先が決まる。ラーマンが監督した「ゲットダウン」の第1話でも、その考えは十二分に表れている。(編集部・井本早紀)
Netflixオリジナルドラマ「ゲットダウン」は8月12日より配信開始