『シン・ゴジラ』スペインのホラー&ファンタジー映画祭でオープニングに決定!駐日フランス大使役が架け橋
大ヒット作『シン・ゴジラ』が、現地時間10月29日からスペイン・サンセバスチャンで開催される第27回ホラー&ファンタジー映画祭のオープニング作品に決まった。併せて怪獣映画が特集されるだけでなく、21世紀を代表する日本のホラー&ファンタジー映画の代表作も上映される。同市では9月末に第64回サンセバスチャン国際映画祭が開催され新海誠監督のアニメ『君の名は。』が話題となったが、再び現地の日本映画オタクたちの心に火をつけそうだ。
これまでも庵野秀明が総監督を務めた『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』(2009)や、樋口真嗣監督『進撃の巨人』シリーズを上映してきた同映画祭としては、2人の共同監督作である『シン・ゴジラ』を見逃すはずがなかった。加えてシリーズ第1弾である本多猪四郎監督『ゴジラ』(1954)をはじめとする怪獣映画4作を上映し、これを機会により深く日本の特撮映画の歴史に触れてもらおうという試みだ。
実は『シン・ゴジラ』とスペインには密接な関係がある。同作で駐日フランス大使を演じているのは、スペイン出身・日本在住の映画研究家ダニエル・アギラル氏。古典からピンクまであらゆる日本映画に精通し、作家・太宰治や夢野久作の小説のスペイン語翻訳も手掛けるなど、文化を通して日本とスペインの架け橋を担っている。また特撮映画ファンには、原口智生監督『デスガッパ』(2010)の田中教授役としても知られる。
アギラル氏は『シン・ゴジラ』出演の経緯について、「庵野監督と樋口監督は『デスガッパ』に友情出演していて面識があったので、今回も“ちょっと出て”という感じで出演することになりました。と言っても、出演シーンは3秒ぐらいで、ほんのちょっとですよ」と照れ笑いを浮かべる。オープニング上映には樋口監督が現地入り予定で、アギラル氏も「スペインでの反応が楽しみです」と期待に胸を膨らませる。
さらにアギラル氏は、21世紀を代表する日本のホラー&ファンタジー映画を特集する「ファンタスティック・ジャパン、21世紀」にキュレーターとして参加している。ほか期間中は、『跋扈妖怪伝 牙吉』(2003)の原口智生監督、『自傷戦士ダメージャー』(2015)の井口昇監督、『ゲームマスター』(2015・日本未公開)の石井良和監督、『大怪獣モノ』(2016)の河崎実監督、『貞子vs伽椰子』(2016)の白石晃士監督が現地入りする。日本でも滅多にないコアなファン層を持つ監督たちの夢の共演に、スペイン屈指のリゾート地も大いに盛り上がりそうだ。(取材・文:中山治美)
●オフィシャル・セレクション
『シン・ゴジラ』(2016)庵野秀明、樋口真嗣監督
『大怪獣モノ』(2016)河崎実監督
『テラフォーマーズ』(2016)三池崇史監督
『貞子vs伽椰子』(2016)白石晃士監督
●特集上映「ファンタスティック・ジャパン、21世紀」
『アイアムアヒーロー』(2015)佐藤信介監督
『仄暗い水の底から』(2001)中田秀夫監督
『呪怨』(2003)清水崇監督
『ゲームマスター』(2015)石井良和監督
『跋扈妖怪伝 牙吉』(2003)原口智生監督
『アンテナ』(2003)熊切和嘉監督
『LOFT ロフト』(2005)黒沢清監督
『HAZE ヘイズ』(2005)塚本晋也監督
『自傷戦士ダメージャー』(2015)井口昇監督
●特集上映「怪獣映画シーズン」
『ゴジラ』(1954)本多猪四郎監督
『大巨獣ガッパ』(1967)野口晴康監督
『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』(1966)田中重雄監督
『ガメラ 大怪獣空中決戦』(1995)金子修介監督
第27回ホラー&ファンタジー映画祭は10月29日から11月4日までスペイン・サンセバスチャンで開催