新海誠監督、日韓は同じ価値観を共有 韓国の『君の名は。』旋風に喜び
韓国で1月4日に劇場公開され、公開31日目で累計観客動員数350万人を突破した映画『君の名は。』の新海誠監督が2月9日に訪韓し、成功御礼の舞台あいさつに出席、さらに翌10日の現地時間午前11時よりソウル市内のホテルで記者会見を行い、ヒットの要因を語った。
会見前日に行われた舞台あいさつでは、本作を3回以上観ている観客が9割ほどいて、中には50回観た猛者もいたとのこと。「反響の凄さに驚いています」という新海監督は、「リピーターがどれほどかはわかりませんが、観客の実数は100万人もいないのでは」と苦笑いしながら、満更でもない様子だった。
韓国での成功の理由を問われ「日本と韓国は文化的にも感覚的にも似ていると思います。日本には韓流ブームがあり、韓国人が美しいと感じることは、日本の多くの人が美しいと感じます。アジアは文化や風景が似ていますし、アジアの皆さんに共感を得られたと思います」と語り、「天災による人々の記憶を癒やしたい気持ちで作った映画ですが、韓国でもセウォル号沈没事件などの災害がありました。記憶を共有できることもヒットに繋がったのではないかと思います」と付け加えた。
『君の名は。』で大きな比重を占めるのが音楽。RADWIMPSの野田洋次郎が、先日の来韓記者会見にて「映画音楽はしばらくいいかな」と発言したことに対し、新海監督は「次回作で音楽を誰にお願いするか悩むところです。前回ソウルに来たとき、SHINeeのジョンヒョンさんとお会いしたのですが、とても素晴らしい方で、いつか音楽をお願いできればと妄想しています」と日韓コラボの可能性も示唆していた。
個人的に韓国人の友人も多く、『君の名は。』には多くの韓国人スタッフも参加している。「韓国には友人もたくさんいます。政治や歴史の問題があっても、一緒にいて楽しいと思えることが文化交流だと思う」と持論を話し、韓国への思いを強調した。
ともあれ韓国での大ヒットにより、新海監督にはファンの間でさまざまなあだ名が存在する。「色々言われていますが、印象的だったのは”カップルブレーカー”かな? 今度はふたりの仲を壊さないように気をつけます」と次回作の布石を置いていた。
『君の名は。』は2月10日現在で観客動員数約360万人を記録。現在韓国では字幕版で上映されているが、今年の下半期には吹替版の劇場公開を行うことが配給元から発表された。韓国における『君の名は。』旋風は収まる気配がない。(数値は映画振興委員会発表)(取材・文:土田真樹)