戦時中なのにロマンチックコメディー!話題のイギリス映画とは
イギリスの女優ジェマ・アータートンが、新作『ゼア・ファイネスト(原題) / Their Finest』について、ビル・ナイとロネ・シェルフィグ監督と共に、3月23日(現地時間)ニューヨークのAOL開催のイベントで語った。
リサ・エバンスの小説「Their Finest Hour and a Half」を基に、第2次世界大戦時のイギリスを舞台にしたロマンチックコメディー。1940年、イギリス軍はプロパガンダ映画を製作するために、ロマンスものを得意とする女性ライターのケイトリン(ジェマ)を雇う。女性差別が根強い当時、彼女はスタッフに見下されることもあったが、徐々に評価されていく。ビルは、プロパガンダ映画の俳優アンブローズとケイトリンの叔父フランクの2役に挑戦した。
出演経緯について、ビルは「送られてきた脚本がびっくりするほど良い内容で、僕の役柄も素晴らしかった。今でも多くのイギリス人は、この時代に強い郷愁を感じている。僕はあの時代の映画、本、音楽が好きなんだ。それらは(戦時中を反映した)重要な内容を含んでいるにもかかわらず、娯楽の要素も忘れずにあった。今作もまた(戦時中の物語だが)外出して楽しく遊ぶような感覚もあって、バランスが取れている」と語った。
映画『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』などこれまでアクション作品に関わることが多かったジェマは、「この時代(1940年代)を描いた作品に関わったことがなかったの。わたしたち製作陣は、今日にも適した現代的作品だと感じてほしくて、スクリューボール・コメディーの要素を(意図的に)含めたわ。わたしが演じたケイトリンは、当時の男性優位の考え方の中で女性蔑視にさらされるの」と説明した。ケイトリンは、そんな映画界の環境に嫌気がさしていたときに、メインライターのトム(サム・クラフリン)に惹かれていく展開になる。
シェルフィグ監督は、今作に影響を受けて、より多くの人が執筆活動をしてほしいと語る。「映画を鑑賞することで、映像の中で異なった場所に行けたり、キャラクターに感情移入できる。それが、わたしが映画を愛する基盤の一つなの。今作を鑑賞した人が、映画の脚本家になりたいと思うかもしれない。なぜなら、(女性差別を受けていた)ケイトリンが、徐々に仕事を楽しみ始めていく様を理解できるから」。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)