つねにマックスな満島真之介、濃すぎるキャラも強みに
『攻殻機動隊』『東のエデン』シリーズなどの神山健治監督が新たに仕掛ける最新アニメーション映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』で、高畑充希演じるヒロイン・森川ココネの幼なじみ・モリオ役に挑んだ満島真之介(27)。自分は「日本だと浮いちゃうのかな?」と悩んだこともあったという満島だが、「全てを受け入れようと思ったとき、違う道が見えてきた」と自身の濃すぎるキャラクターを語った。
本作は、岡山県倉敷市の児島を舞台に、瀬戸大橋のたもとののどかな町で暮らす父娘の絆を、夢と現実を結び付けながら活写するSFアドベンチャー。2020年、東京オリンピックの3日前、突然、ココネ(高畑)の父・モモタロー(江口洋介)が警察に逮捕される。次々に浮かび上がる謎と真実を突き止めるため、ココネは幼なじみの大学生・モリオ(満島)を連れ出し東京へと向かう。
長編映画初の声優で満島が挑んだ役は理系男子。「モリオはものすごいリアリストで、『全ては数値に出ています』と言うような理屈男。何も知らずに壮大な夢ばかり見ているココネとのコントラストが実に面白い」と笑顔を見せる。「実写だったら、顔の作りも含めて、理系男子の役はちょっと難しいかも。どうしたって僕は“ハッピーボーイ”みたいな方向に行ってしまうので、そういった意味では、この作品で自分の新たな可能性が見えた」と手応え十分だ。
ところで本作は、父から娘に受け継がれる才能やスピリッツについても描かれているが、満島の中にも家族の思いやDNAみたいなものを感じることはあるのだろうか。「日々ありますね。おじいちゃんが外国人だったこともあって、目や鼻の形、輪郭など、顔の造形も他の人と違うし、体の動きや表情筋の動きも大きい。役者という表現の仕事をやっていると『ああ、俺、違うんだなぁ』って思うこともしばしば」と吐露。
海外のどの国へ行っても、観光客には見られたことがないという満島は、自らを「地球の中間色の顔」と表現し、だからこそ、いろいろなチャンスがあるとも捉えている。「最初のころは日本だと浮いちゃうのかな? と思うこともありました。そのことを意識しすぎていた時期もあったのですが、全てを受け入れようと思ったとき、違う道が見えてきた。自分を素直に出していけば、神山監督のようにちゃんと見ていてくれる人がいるんだなと」。
さらに今回、作品の時代設定が東京オリンピック3日前ということから、満島は世界スケールで自身の生き方に思いを巡らす。「オリンピックをきっかけに世界との距離はもっと縮まり、密な関係になっていくと思うので、日本のこと、東京のこと、さらには日本のエンターテインメントについても学び、いざ外国人と対峙したときに『日本はこんな国ですよ!』と胸を張って言えるようになりたい。今回の声優のお仕事もそうですが、さまざまな役やお仕事にチャレンジすることも、神山監督のような素晴らしい才能と出会うことも、全てが自分の糧になる。留まらず全力で走り続けていきます!」。
映画、ドラマはもとより、バラエティー番組でも独特の存在感を見せつける満島。その有り余るパワーは、持って生まれた資質であると同時に、姉・満島ひかりという稀有な女優の存在が大きな刺激になっていることも付け加えておきたい。才能豊かな熱いDNAが、また一人、規格外の俳優を生み出した。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』は公開中