『夜は短し』は「四畳半」のご褒美!湯浅監督が語る声優エピソード
映画『夜は短し歩けよ乙女』を監督した湯浅政明は、7年前に制作した『夜は短し』と同じ森見登美彦が原作を手掛けたテレビアニメ「四畳半神話大系」時代から本作を映像化することを考え続けていたという。
「7年前に作った『四畳半』が好評で、そのときに森見さんの作品をもう一つやりましょうという話が持ち上がったんです。その時点ではすぐにとはいきませんでしたが、巡り巡って再び一昨年くらいにお話をいただいて。でも自分は『四畳半』が終わった時から勝手に映像化する予定でした(笑)」。そして実現した『夜は短し』の映画化。スタッフや声優陣なども「四畳半」と地続きになっている部分が多い。
そこには同じ作者の世界観や同じキャラクターが登場するという面もあったが、監督には「『四畳半』がうまくいったご褒美的な感じがあったので、できるだけ同じ人やスタッフでできたら」という思いがあったとのこと。劇中には、「四畳半」に登場しているキャラクターのニセモノ(ニセ城ケ崎)が登場しており、ニセモノということで当初は別の声優に声を当ててもらうことも検討したそう。しかし結果的に「四畳半」と同じ諏訪部順一を起用した。「画だけでやるとニセモノが似ているということが伝わらないんですよね。でも声が同じ人がやると、変だけどこれは“ニセモノ”なんだということが伝わりやすくなるんです」とのこと。
また「四畳半」時代で築き上げたチームワークが面白いように作用していく部分もあった。ジョニー役の檜山修之に、『夜は短し』で「ポップコーンがポンポンとはじけるような演技をお願いします」と演出すると、檜山は実際に「ポンポン!」と口に出したという。監督はそのアイデアをほかの部分でも採用。ジョニーが出てくる場面では、SEを挿入する予定だった「ババーン」「パンパンパーン」のト書きの言葉は、ほぼ檜山のセリフとして変換されている。
だがもちろん今回新たに参戦した、主演の星野源への信頼も厚い。「星野さんへの心配はすごくお忙しい方という部分だけで、とても難しい役ですが彼ならできると感じていました」とのこと。「僕は特に声優を主な仕事としている方と、そうではない方の区別はしないようにしているんですよね。声優さんといってもさまざまなお仕事をされていますし。才能とパーソナリティー、演技の技術を持った方であればという部分があって。あとはコチラの演出次第ですよね」。(編集部・井本早紀)
映画『夜は短し歩けよ乙女』は4月7日より全国公開