仮面ライダー電王から10年、中村優一が語る「人生で電王を超えるものはない」
特撮ドラマ「仮面ライダー電王」(2007)で桜井侑斗/仮面ライダーゼロノスを演じた中村優一が、10年の時を経て改めて作品や演じたキャラクターへの思いを語った。誰もがあこがれる仮面ライダー、その中でも特にファンに愛される「電王」を通してヒーローであり続けたこの10年を、中村は「ずっと夢が叶っている状態かもしれません」と語る。
「仮面ライダー電王」は、ひ弱な主人公が仮面ライダーとして“時の運行”を守るために戦うストーリー。中村が演じた侑斗はいわゆる2号ライダーで、強気な態度の裏に複雑な事情を抱えた物語のキーとも言えるキャラクターだ。撮影を「一番幸せな時間」と振り返る中村だが、当時はまだ19歳だった。「正直あの頃の僕は台本通りやるので精一杯で、今だったらもっとやり方が変わるのかなと思ったりもしますが、あの時の自分なりに精いっぱいやっていたからこそ出ていたものがあると思います」と目を細める。
侑斗は変身回数に限りがあり、変身ごとに人々の記憶から消えていくという運命にあった。「みんなの記憶から消えてしまっても、それでも変身して戦うというのが侑斗であり、ゼロノス。その重みは感じていました」。侑斗を通じて得た経験を「人生の宝物」として大切そうに語る中村にとって、「人々の記憶から自分の存在が失われていく」という事実は、自分自身に通じる部分もあった。「僕も一度芸能界を引退しています。その時には、やはりみんなの記憶から少しずつ自分が消えていくことを切なく感じました」と2012年に芸能界を引退し、2014年に復帰するまでに抱いた思いは侑斗と重なったという。
しかし、「こうやって復帰し、応援してくださる方がたくさんいて、大好きな『電王』の10周年をファンの皆さんと迎えられたことを『本当に良かった』という簡単な言葉では終わらせたくないのですが、この記憶をずっと残していきたいなと思います」と誇らしげに笑う。10年の月日を経た自身の変化については「わからないな~」としつつも、「どんどんどんどん『電王』に対しての愛が深まってきました。当時はみんなに応援してもらえることが単純にうれしいというだけだったのが、いまは幸せだなとしみじみ感じます」と心からの笑顔を見せる。
主演の佐藤健(野上良太郎/仮面ライダー電王役)への思い入れも今なお強い。撮影当時について、「本当に一つ一つ、一瞬一瞬が心に残っていますが、『劇場版 さらば仮面ライダー電王 ファイナル・カウントダウン』で健くんと一緒に変身できたことがやっぱりうれしかったです」と話すと、「『劇場版 仮面ライダー電王&キバ クライマックス刑事(デカ)』で、国会議事堂の前で二人で変身したのが健くんとはラストの撮影でした。その後はお互い撮影スケジュールが違って出番が一緒になることが難しく、そのときが本当に最後だったので、すごく思い出に残っています」と当時に思いをはせる。
仮面ライダーシリーズの中でも特に人気の高い「電王」。作品が支持され続けたこの10年は、ファンにとって中村がヒーローであり続けた10年でもある。「僕にとってもヒーローはやっぱり子供の頃から見ていたあこがれのもの。だから、ずっと夢が叶っている状態かもしれないです」。最後に中村は、「こんなに多くの方に愛してもらえる作品はなかなかないと思うんです。僕の人生の中で、きっと『電王』を超えるものはありません。ただ、それはすごくうれしいことで、幸せなこと。これからも皆さんの心に電王という電車が走っていればいいなと思います」と素直な言葉を残した。(編集部・小山美咲)
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