キム・ジソク氏死去 政治圧力とも闘った釜山国際映画祭のキーマン
釜山国際映画祭(BIFF)でエグゼクティブ・プログラマーを務めてきたキム・ジソク氏が、心臓発作のため亡くなったことが The Hollywood Reporter で報じられた。2014年開催の第19回では、セウォル号沈没事故の問題点に迫ったドキュメンタリー映画『ダイビング・ベル セウォル号の真実』の上映をめぐり、行政の圧力とも闘ってきた同映画祭。その創設期メンバーの一人であったジソク氏の死は、同映画祭にとっても大きな打撃になるだろう。
The Hollywood Reporter に同映画祭の関係者が語ったところによると、カンヌ入りしていたキム氏は、現地時間18日に発作が起こり倒れたという。
BIFFと行政の闘いとは、セウォル号沈没事故をめぐる韓国政府の対応の問題を告発した映画『ダイビング・ベル セウォル号の真実』に、政府からの指示を受けた釜山市が上映中止を要請したことで起こったもの。これを無視したBIFFに、ソ・ビョンス釜山市長の怒りが爆発。イ・ヨングァン前執行委員長に退陣を迫り、会計監査に入って不正行為を指摘し、イ前執行委員長を告訴した。これに対し各国の映画人が、映画祭への政治介入を非難し反発。第21回BIFFのボイコット騒動まで勃発した。
昨年6月にBIFFの副ディレクターにも就任し、若手の人材発掘にも尽力を注いできたキム氏。シネマトゥデイのインタビューで彼は「映画祭というのは、あくまで文化イベントであると私達は考えています」とも語っていた。(編集部・井本早紀)