水谷豊、監督の方が向いているとの声に「俳優としてはそんなにダメ?」
俳優の水谷豊が初監督を務めた映画『TAP -THE LAST SHOW-』の初日舞台あいさつが17日に都内で行われ、水谷と、本作で水谷の盟友役を務めた岸部一徳が出席した。岸部は水谷の初監督ぶりについて「緊張しながら演じていましたが、新人監督という感じはほとんどなかった」と感想を述べると、「監督の方が向いているんじゃないか」とニヤリ。すぐさま水谷が「俳優としてはそんなにダメですか」と応じて会場を沸かせた。
過去にドラマ「傷だらけの天使」にそろって携わるなど、長年の友人関係にある二人。岸部は「長いキャリアの中でいろんな優秀な監督と出会い経験を積んできたと思うんですが、それをなぞることはしなかった。誰もしなかったことをしようという気迫が感じられた。撮影中よりもっといいものができて、監督の方が向いているんじゃないかと思った」と水谷の監督ぶりを絶賛する。
作品は水谷が40年もの間温めてきたというタップダンスをモチーフにしたもので、この日は冒頭、同席した出演者の北乃きいと前田美波里から40本の青いバラがプレゼントされた。花言葉は「夢叶う」だといい、水谷は「もう少し早くもらっていれば、40年もかからなかったのかなって」と照れ笑い。「初めての監督でしたのでどうなることやらと思い、ただただ自分の思うところへ辿り着こうとしていたのですが、自分がやろうと思っていたら、やってもらう仕事なんだって気付きました。できた作品というのは、それぞれそこに携わった人のものですね」としみじみ語った。
監督をしようと思ったきっかけについても「いつかこの世を去る時が来る。その時に自分の人生悪くなかったなって自分では思いたい。そのためには自分のできることをやっておきたいと思って」と説明した水谷。しかし、「これが落ち着きましたら、また(監督をしようかと)思いをはせてしまうんですが、これがまたすぐ『相棒』が始まってしまうんです」と次回作については言及しなかった。
「40年あまり思い続けて辿り着いた映画。長い夢になった」と述べると、「公開してわが子を旅に出す気持ち。どのような旅になろうとわが子を観てくださった人たちには感謝しています。次はもう少し短い夢を見たい」と感慨深げに話していた。舞台あいさつには六平直政、HIDEBOHらも出席した。(取材・文:名鹿祥史)
映画『TAP -THE LAST SHOW-』は公開中